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袴田元死刑囚の再審決定を取り消した検察と東京高裁は憲法違反…再勾留しないのは矛盾

文=深笛義也/ライター
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袴田元死刑囚の再審決定を取り消した検察と東京高裁は憲法違反…再勾留しないのは矛盾の画像1袴田秀子さん

「これ以上拘束を続けることは耐えがたいほど正義に反する」

 静岡地裁で村山浩昭裁判長がそう語り、袴田巌元死刑囚の再審開始を認める決定をし、刑の執行停止と釈放を認めたのが2014年3月27日。48年ぶりに出獄した袴田さんの姿を見て、司法の良心を感じた国民も多かっただろう。

 それが暗転したのが、今月11日。検察側は再審に反対する即時抗告をしていたが、東京高裁はそれに沿って、静岡地裁の決定を取り消し、再審開始を認めない決定をしたのだ。一方で、袴田さんの健康状態などを考慮し、死刑と拘置の執行停止については維持した。

 21日、『くり返すな冤罪!市民集会2』が東京・文京区民センターで開かれた。「再審開始に対する検察官の上訴は許されるのか」。このテーマで講演したのは元裁判官の井戸謙一弁護士である。井戸氏が弁護人を務める湖東記念病院人工呼吸器事件においても、昨年12月20日に大阪高裁が再審開始を認める決定をしたが同26日、大阪高検がこれに反対して特別抗告している。

 井戸氏は同事件で殺人罪で服役させられた西山美香さんが無罪であることを詳細に説明し、再審が決定された事案に対して検事が不服申し立てをするのは、憲法違反であると主張した。憲法39条には「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない」とある。

 その精神は「1.無辜を罰しないこと、2.被告人を長期間不安定な地位に置かないことの価値を、3.有罪犯人を取り逃がさないことの価値より上に置く」ということであり、再審においてもその精神を貫徹すべきだ、と井戸氏は語った。西山美香さんも登壇し、虚偽の自白をさせられた時の心境について語った。

再審請求却下への疑問

 袴田さんが被告となったのは、1966年6月30日、味噌製造会社の専務自宅が放火されて、一家4人の他殺死体が発見された事件。従業員であった袴田さんが強盗殺人、放火、窃盗容疑で逮捕され、1980年に最高裁で死刑が確定した。

 弁護団が再審請求を開始したのは、1981年。争点は多岐に渡ったが、事件から1年2カ月後に味噌醸造タンク内で発見された5点の衣類が、袴田さんのものであるのかどうかに焦点が当たった。

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