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紀州のドン・ファン不審死、捜査は核心に?犯人は妻ではない?過去を暴露したメディアの罪

文=深笛義也/ライター
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警察、地方と都市の格差

和歌山ということで思い出すのは、毒物カレー事件(1998年)です。この事件も警察の初動がまずかった。夏祭りでカレーを食べた人々が腹痛や吐き気を訴えて病院に搬送された時、保健所は食中毒によるものとしてしまった。犠牲者が出てから、和歌山県警は吐瀉物を検査し、青酸の反応が出たことから青酸中毒によるものと判断しました。しかし、改めて警察庁の科学警察研究所が調査して、ヒ素の混入が判明した。初動がそんなバタバタだったので、あやうくカレー鍋も片づけられるところでした。表向きは和歌山県警が解決したことになっていますが、初動がまずかったのと、能力的な限界もあって、警視庁の応援を得て解決したのです」

 警視庁は東京都を管轄する警察組織である。首都警察として、道府県警察とは異なる名称で呼ばれている。警視庁には、優秀な人材が集まるということはあるのだろうか。

「警察官になろうとする人は、けっこう地元志向が強いです。地元の警察を落ちて警視庁に来る人もいるくらいです。警視庁のほうが圧倒的に募集人数が多いですから。だから入ってくる人たちは、玉石混交です。東京都というのは、警察の仕事が多いですよね。要人警護の仕事もあれば、サッカーに熱狂する人々が街でフーリガンにならないように鎮めなくちゃならないし、犯罪そのものが圧倒的に多い。どんなに勉強ができても事件が解決できるわけじゃないので、警察官としての腕が上がってくるのは、どれだけ事件をこなすかによるわけですよ。警視庁には過去からの蓄積もあるから、部下への指導の仕方も違ってくる。やはり事件の少ない地方の警察とでは、捜査のスキルに差が出てしまうんです。

 そういう問題があるので、地方の警察から警視庁なり大阪府警なりに一定期間出向して実力をつけるという制度があります。もともと優秀な者が選ばれるわけですが、そういう人が県警に戻って中心的な存在としてがんばっていくというのは、よくあることです。そういう人物が今回のように難しい事件に当たればいいのでしょうが、必ずしもそうではないかもしれない。また、和歌山県というのは南のほうに行けば地方色が増しますけど、北の和歌山市辺りは大阪の経済圏なので、優柔な人材は初めから大阪府警に入ってしまうということはあるでしょうね」

 残念なことだが、都市と地方の格差は警察力においても存在している。地方差別と取られかねないからあまり指摘されないが、解決策を考えるべきだろう。

“マスコミ主導”が捜査の妨げに

「毒物カレー事件との共通点としては、マスコミ主導ということがあります。メディアが過熱するとロクなことはないと、現役の捜査員たち皆は本音では思ってますよ。理由は2つあって、通常の行動確認ができなくなってしまうということが、1つ。何か事件が起きたら、警察は疑わしい人間の行動を追います。当然のことながら、相手にわからないように尾行します。そうすると証拠隠滅を図って犯人だとわかったり、接触する人物によって事件の輪郭が見えてくることがある。だけどマスコミは、撮影したり喋らせることが目的なので、あからさまに張り付くでしょ。そうすると怪しまれる行動なんかしなくなるじゃないですか。

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