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レモンサワー好きには、たまらない!コカ・コーラ「檸檬堂」、秘密の製法でヒット確実?

文=A4studio
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レモンサワー好きには、たまらない!コカ・コーラ「檸檬堂」、秘密の製法でヒット確実?の画像1檸檬堂 HP」より

 日本コカ・コーラは5月28日、「檸檬堂(れもんどう)」と銘打った缶チューハイのレモンサワー専門ブランドを、九州地区限定で新発売した。

 ラインアップは「定番レモン」「塩レモン」「はちみつレモン」の3種類で、メーカー希望小売価格は1缶350mlで150円(税別)。コカ・コーラグループ全体としては、1970年代にアメリカでワイン事業に着手したことはあったが(1983年に撤退)、日本では初のアルコール飲料となるので、世間の目には新鮮に映っているだろう。

 そもそも、なぜこのタイミングでアルコール事業に参入したのか、日本コカ・コーラ広報部の飯田征樹氏は次のように語る。

「今回の『檸檬堂』というレモンサワーの発売は、日本というユニークな市場で、当社が持続的な成長を続けていくための実験的な取り組みのひとつです。当社は現在、これまでの清涼飲料の商品ラインアップではアプローチできなかった売り場やお客様に向けたご提案を、積極的に行っております。

 たとえば、昨年3月の発売以降ご好評いただいている特定保健用食品(トクホ)の『コカ・コーラ プラス』や、今年4月に発表したフローズン飲料の『コカ・コーラ フローズン レモン』といった製品も、そうした取り組みの一環でした」(飯田氏)

レモンフレーバーが人気の日本で「檸檬堂」はいかにして戦うのか

 では、数あるアルコールのなかでも、日本コカ・コーラがレモンサワーで勝負しようと決定した理由はなんだったのか。

「檸檬堂」のブランドマネージャーを務めるパトリック・サブストローム氏いわく、自身で実際に居酒屋巡りをしてみたところ、「東京の恵比寿や新宿をはじめ、こだわりのレモンサワーを出す店が繁盛していた」のだという。

 また、近年は各地でレモンサワーに特化したイベントが開催されるようになっていたり、缶チューハイ市場ではレモンフレーバーが最もよく飲まれていたりといった現状も、「檸檬堂」開発の動機になったそうだ。

 参考までに、ネット通販大手のアマゾンが昨年11月13日から今年4月30日にかけて集計した「Amazonランキング大賞2018上半期」のチューハイ・カクテル部門をチェックしてみよう。1位こそキリンの「本搾りチューハイ グレープフルーツ」に譲っているが、2位から6位までは確かに、キリンの「氷結レモン」やサントリーの「-196℃ ストロングゼロ ダブルレモン」、宝酒造の「焼酎ハイボール レモン」といった、レモンフレーバーの商品が占めている。

 そんな競合他社のレモンサワーに対し、後発の「檸檬堂」が製法面でアピールしているのは、とある日本の居酒屋に教わったという“前割りレモン”の使用。皮ごとすりおろしたレモン果汁を、あらかじめアルコールに漬けて馴染ませておくことで、レモンサワーの味わいにより一層の深みをもたらした。

 もちろん、「檸檬堂」という“和”を感じるネーミングや、前掛けをモチーフにしたパッケージでも、他社商品との差別化が図られているのは明らかだ。コンセプトは“こだわりのレモンサワーを出すお店”とのことで、デザインを担当した原田朋子氏は“まだ若いけれど自分なりに工夫をしておいしいレモンサワーをつくっている、職人のような大将”をブランドのキャラクターに想定したと話す。テレビCMでは、架空のレモンサワー専門店「檸檬堂」の店主として阿部寛を起用しており、絶妙なキャスティングといえるだろう。

飲み心地はオーソドックスだが、ブランド内でお互いを引き立てる

 さて、ここからは「檸檬堂」シリーズ全3種類を実際に飲み比べてみた感想をお届けしたい。

 まず「定番レモン」(レモン果汁10%、アルコール度数5%)は、良い意味でひねりのない、シンプルなレモンサワーだという印象。一方、「はちみつレモン」(レモン果汁7%、アルコール度数3%)」にはジュースに近い甘みがあり、女性ウケは言うまでもなく、あまり酒に強くない層にも受け入れられそうだ。その対極にあるのが「塩レモン」レモン果汁7%、アルコール度数7%)で、“いかにもアルコール”という刺激を求めるオトナの男性に支持されそうな、甘さを排除したテイストに仕上がっている。

 誤解を恐れずにいうと、シリーズの1本1本は、どこかで飲んだことのあるようなオーソドックスな味に感じた。しかし、同一ブランド内で3種類のバリエーションを用意することによる相乗効果こそが「檸檬堂」の狙いだろう。“弱・中・強”と呼んでしまうのは語弊がありそうだが、アルコール度数が3%、5%、7%と明確に分かれているおかげで、レモンサワー好きにとってはお気に入りの味を見つけやすいのではないか。

 それはパッケージについても同じことがいえ、アルコール度数が最も強い「塩レモン」はシルバーの缶が渋く光っているし、逆にアルコール度数が最も弱い「はちみつレモン」はオレンジをあしらった、女性でも店頭で手に取りやすいデザイン。いざ飲んでみると、缶の見た目から連想されるままの味が楽しめるのは嬉しいところである。

 先述したサブストローム氏は、他社のアルコール商品を視察しているうちに「ビールはどの商品もアルコールの度数がある程度揃っているのに対し、缶チューハイはブランドによって3%から9%まで幅がある」ことを見抜いたそうで、そうした気づきは「檸檬堂」にしっかり反映されているというわけだ。新規参入だからと奇をてらうことなく、購入者の多様なニーズに、真正面から応えようとする気概が感じられる。

 ただ、冒頭でも触れたように、「檸檬堂」の販売は九州地区限定。その意図について、前出・飯田氏は「九州での試験販売につきましては、当社のマーケティング調査を踏まえて決定させていただきました。焼酎の文化が根差した地域でお客様に評価していただくことで、さまざまな学びが得られるものと考えております」と述べる。全国展開の計画は、現時点では特に具体化していないとのことだ。

 とはいえ、同社では過去にも「爽健美茶」や「ジョージア」などの商品が九州地区限定で発売され、やがて全国展開に至った事例がある。「檸檬堂」に興味がある九州以外の方は、全国販売を期待して待ってもいいのかもしれない。
(文=A4studio)

※広報部の飯田氏以外のコメントは、日本コカ・コーラのオウンドメディア「コカ・コーラ ジャーニー」より引用

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エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
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Twitter:@a4studio_tokyo

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