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東芝、頼みは「エレベーター事業のみ」の悲劇的現状…展望なき聖域なきコストカット

文=江田晃一/経済ジャーナリスト
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 車谷会長が構造変革で鼻息が荒かったのは、固定費の低減についてだったという。原価率の高さを課題とし、経費の削減などを聖域を設けないかたちで進める方針を示した。電機業界の関係者は語る。

「銀行マンの車谷さんは良くも悪くも実業には疎い。『電機村のカルロス・ゴーン』とも囁かれており、本人もまんざらでもないとか。大胆なコストカットを打ち出すだろうし、逆にいえば手持ちのカードはそれしかないのではないか」

 東芝社内では現在、事業部長と車谷会長が面談を重ね、構造変革プランの策定の真っただ中だ。幹部のみならず、工場などの従業員とも対話を進めるが、東芝社員は「現場重視といえば聞こえはよいが、現場の声を取り入れるというより一から勉強している状態で、各事業部は車谷会長を取り込もうと躍起になっているのが実情」と語る。

「売上を追わない」ではなく「追えない」状況

 車谷会長は就任に際して、「東芝のグローバル企業への復帰」を使命としてあげていたが、その道程は見えてこない。おそらく本人も想像以上に難しいと感じているだろう。手っ取り早い成長策として、M&A(買収・合併)に色気を見せていた時期もあったが、大株主である海外ファンドを中心に「そんなカネがあるならば株主還元しろ」と反対論が根強く、すでに半導体メモリ事業の売却益から7000億円規模の自社株買いを決めている。手元にある事業はインフラ関連が中心で決して海外での競争力は高くなく、手詰まり感は否めない。

「インフラ関連事業でのリカーリングを目指したところで日立やシーメンスの周回遅れ」(証券アナリスト)

 コストカットで一時的に収益性が高まっても、一定の成長がなければ、縮小均衡を避けられない。車谷会長は「売上を追わない」と繰り返してきたが「売上を追えない」のが正しいところだろう。パソコンや半導体メモリで世界を席巻した栄光の残像を捨てさり、過去という理想と決別できるかが問われることになる。
(文=江田晃一/経済ジャーナリスト)

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