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コーヒー、米国で発がんリスク表示義務化、スタバらの反論却下…がん予防効果との研究も

文・取材=A4studio
コーヒー、米国で発がんリスク表示義務化、スタバらの反論却下…がん予防効果との研究もの画像1「Gettyimages」より

 3月28日、アメリカのカリフォルニア州上位裁判所の判事が、州内で販売されるコーヒー商品発がんリスクを警告するラベルを貼るべきという判決を下した。

 今回の争点となっていたのは、コーヒーを焙煎した際に発生する「アクリルアミド」という物質であり、国際がん研究機関はこれを「ヒトに対しておそらく発がん性がある物質(グループ2A)」と分類している。そんなアクリルアミドが商品に含まれていることを消費者に告知していないとして、カリフォルニア州に拠点を置く毒物に関する研究団体(CERT)が、スターバックスを始めとするコーヒー関連の約90社を提訴したのが2010年。8年にわたる法廷闘争の末、スターバックスらが提訴内容を否定する十分な根拠を証明できなかったとして、今回の判決が下されたとのことである。

 コーヒーは日本でもポピュラーな飲み物であるが、ビジネスパーソンであれば、仕事中の“ガソリン”として毎日のように飲んでいるという人も多いことだろう。

 コーヒーの影響についてはたびたび論じられている。切り口も結論もさまざまだが、今回、1日1杯コーヒーを飲む生活を送った場合、健康に対してどのような影響を及ぼすのかについて、『我が輩は珈琲博士―笑いと科学のスペシャルブレンド』(時鐘舎)の著者である、金沢大学名誉教授、日本コーヒー文化学会会長の廣瀬幸雄氏に話を聞いた。

発がん性リスクのあるアクリルアミドの含有率は“極々微量”

 まず初めに、コーヒーに含まれる主な成分と、その効果について聞いた。

「コーヒーに含まれる主な成分としては、カフェインやポリフェノールが挙げられます。カフェインは覚醒作用や抗酸化作用などのある物質で、100ccのコーヒーの中に100㎎以下の量が含まれています。近年エナジードリンクの飲み過ぎでカフェイン中毒になったり、そのまま死亡してしまう事案がありますが、カフェインの致死量は1回4~5g程度なので、コンビニコーヒーを1日に40~50杯分飲むようなことがなければ、死に至るようなことはありません。

 また、実はポリフェノールの含有量はカフェインより多く、100ccのコーヒーの中に100㎎~200mg程度含まれています。特にクロロゲン酸という種類のポリフェノールが多く含まれているのですが、これにはがん予防効果があるとされています。ですから、むしろがん予防の目的でコーヒーを飲むことが医療対策として行われることもあるのです。

 今回問題となったアクリルアミドに関しては、100ccのコーヒー中の含有量が、インスタントコーヒーなら0.09mg、レギュラーコーヒーなら0.04mgと微々たるもの。確かに発がん性物質ではありますが、率直に言って気にするほどの量ではありません」(廣瀬氏)

 それでは、1日に1杯コーヒーを飲む生活を続けた場合、健康にいいのだろうか、それとも悪いのだろうか。

「結論から言うと、1日数杯飲むくらいの生活ならば、健康にいいと言えるでしょう。ただ、ポリフェノールの含有量は焙煎が深くなると減っていきます。浅煎りのコーヒーと比較すると、深煎りのコーヒーのクロロゲン酸量は3分の1くらいになるので、深煎りコーヒーにがん予防効果を期待するならば、1日に3杯は飲んだほうがいいでしょう。また、やはり妊婦さんや小さい子供にはカフェインはあまりよくないので注意が必要です。とはいえ、今はノンカフェインのコーヒーというものもあるので、そういったものも活用していけばあまり問題はありません。

 ただ、古くなったコーヒーはおすすめしません。なぜかといえば、古いコーヒーは酸化して身体に良くないからです。一般的にコーヒーが酸化を始めるのは焙煎した豆なら1カ月、粉にしたら1週間、抽出したら2時間などといわれています。焙煎して2、3カ月経ったくらいのものならそれほど問題はないですが、1年経ってしまっているようなコーヒーは体によくないでしょう」(同)

古くなって酸化したコーヒーや、砂糖の入れ過ぎには注意が必要

 コーヒーといっても砂糖や牛乳を入れるかどうかの違いもあれば、レギュラーコーヒーだけでなく缶コーヒーもあるため、選択肢は幅広い。我々が健康的なコーヒーライフを送るためには、どういったことに気をつけるべきなのだろうか。

「砂糖はあまり入れ過ぎないほうがいいですね。我々がよく使う目安としては、1ℓの水に5gの砂糖を入れて、かき混ぜたものと比較するんです。それより若干甘いくらいなら大丈夫ですが、それこそ砂糖水のように甘すぎるものは、やはりよくない。たとえばインドネシアの人は、コーヒーに何杯も砂糖を入れて飲む甘党が多いのですが、その影響もあってか糖尿病患者が非常に多い。一方、牛乳の量はそこまで気にする必要ありません。カフェラテやカフェオレといったメニューがあるように、苦みが強いときに入れればおいしく飲めますからね。また、缶コーヒーは長持ちさせるための成分が色々と配合されていますが、こちらも大量に飲むことがなければ過度に気にすることはないでしょう。

 そもそも今回の発端となったアクリルアミドは、野菜炒めにも含まれるような物質なのですが、含有量があまりに少ないため“1日に○○mg以上は摂取してはいけない”といった規制をしている国はどこにもありません。ですから、アクリルアミドが含有されているからという理由では、コーヒーの量を控える必要はまずないでしょう。ただ、古くなって酸化されたコーヒーはアクリルアミドとどう反応し身体に影響を及ぼすかは、今後の研究課題になると思います。

 結局のところ、常識外に大量に飲んでカフェインを摂りすぎたり、古くなって酸化したコーヒーを飲んだり、砂糖を大量に入れたりといった部分に少々配慮すれば、コーヒーを毎日飲む生活を送っても問題ないのです」(同)

 集中したいときや、反対にリラックスしたいときにも、コーヒーは欠かせない存在という人は多いだろう。節度を守った飲み方をすることで、健康的に、コーヒーと長く付き合っていきたいものである。
(文・取材=A4studio)

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エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

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