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大迫勇也、柴崎岳、昌子源を飛躍させた鹿島アントラーズの驚異の育成システム

文=安藤隆人/サッカージャーナリスト
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鹿島アントラーズを支える超目利きスカウト

 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)屈指の強豪で、Jリーグ発足後のタイトル獲得数ナンバーワンの“名門中の名門”。鹿島の最大の強みは、才能ある高校生プレーヤーを厳しい目で見極め、獲得後はじっくりと育てて、主軸として活躍させ、さらなる高みに導いていく「育成力」にある。

 大迫を鹿児島城西高校から獲得し、5年間でエースストライカーに育て上げ、ドイツ・ブンデスリーガに送り込んだ。柴崎は青森山田高校2年生の冬に異例の早さで獲得を確定させ、6年かけて攻守の要に育ててスペイン・リーガエスパニョーラに送り込んだ。昌子は米子北高校から獲得し、今や鹿島の不動のディフェンスリーダーとなるまでに育て上げた。

 この鹿島の育成力の裏側には、ひとりの超目利きスカウトの存在がある。鹿島のスカウト部長を務める椎本邦一氏だ。鹿島の前身である住友金属時代から同クラブ一筋の人物で、実に20年以上、スカウトという重要な仕事をこなしている。

 椎本氏の眼力のすごさは、「才能があって、絶対に屈しない選手」を見いだすことにある。

「獲得するなら、将来のクラブを担ってくれる存在でないといけない。そこは技術だけでなく、サッカーへの姿勢、人間性も重要。大事なのは『鹿島というクラブにふさわしい選手かどうか』なんです」(椎本氏)

 クラブが積み上げた伝統と精神--。「常勝軍団」であるべきクラブの確固たる信念と、それを担えるだけの選手、人間かどうかの見極め。この強固な柱が椎本氏の目利きの根幹にある。

 筆者も高校生の取材に日本全国を回るが、いろんな場所で椎本氏の姿を見る。大迫の獲得時も、柴崎のときも、昌子のときも、現場には彼の姿があった。そして3人とも期待通り鹿島を担う存在になり、日本代表の欠かせない軸としてロシアW杯を戦った。

 さらに残念ながら一度もピッチに立つことができなかったが、今回の日本代表には植田直通も選ばれた。彼もまた椎本氏がその才能に惚れ込み、熊本の大津高から高卒で獲得した逸材。昌子と共に鹿島の強固な守備を築くセンターバックとして君臨し、今回のメンバーでフィールド最年少で選ばれており、次世代の期待の星のひとりである。

 この4人を獲得した後も、全国各地の高校チームの試合会場で椎本氏の姿を見る。今年も高校ナンバーワンCBの呼び声高い流通経済大柏高校の関川郁万を獲得するなど、将来のW杯に出場するかもしれないダイヤの原石に熱視線を送っている。

 鹿島らしい、勝負に最後までこだわり、チームを支え、周りを突き動かす選手――。大迫、柴崎、昌子の躍動は、鹿島にとっても、椎本氏にとっても、自分たちの信念が間違っていないことを示す大きな証しとなったといえる。
(文=安藤隆人/サッカージャーナリスト)

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