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豪雨、今後10~20年で増加の可能性…死者が出た洪水は、行政による「人災」か

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西日本で記録的豪雨(写真:ロイター/アフロ)

 各種報道によれば、西日本を中心に全国で死者が100人以上に上っている記録的大雨。地域によっては堤防の決壊や床上浸水も発生しているが、被害が広がっている背景について、中部大学教授の武田邦彦氏に話を聞いた。

――今年、異常気象が増えているという印象だが、地球全体における大きな気象の変化の現れととらえるべきか?

武田邦彦氏(以下、武田) 短期的なスパンでの太平洋の海流の変化が大きな要因ではないか。今年の5~6月、特に関東地方では気温が高い日が多かったが、アメリカ西海岸では逆だった。フィリピン沖から水温の高い海流が黒潮に乗って速い速度で日本へ北上し、さらに北に行って冷やされた海流が、アメリカ西海岸に流れ込んでいると考えられる。

――今回の豪雨も、短期的なスパンでの気象の変化によるものと考えるべきか?

武田 数十年くらいのスパンで、気象が活性化する時期と穏やかな時期が交互に訪れるが、今から20年くらい前、2000年前後の頃から日本周辺の気象は荒くなっている。より広くとらえると、気象は40~50年くらいの周期で“ジャンプ現象”が起き、ガラッと変わる。日本周辺でいえば、最近では太平洋戦争終戦頃に大きく変わり、その後、伊勢湾台風など大型の台風が数多く日本を襲った。次のジャンプ現象が1990年前後に起こり、新たな周期に入り気象は大きく変化し、台風の規模は大きくなったり、雨量が増えた。よって、2030~40年頃まで、今後10~20年くらいは豪雨の発生が多くなることも考えられる。

――今回の豪雨では、堤防決壊や洪水、街全体が水没する例なども発生している。

武田 09年に発足した旧民主党(民進党)政権が「コンクリートから人へ」というスローガンを掲げ、自治体は公共工事をやりにくくなった。洪水を防ぐためには、「堤防の整備」、河川などの底面を浚(さら)って土砂を取り除いて川底を深くする「浚渫(しゅんせつ)」、そして「森林整備」が重要だが、自治体は危機意識を持っているものの、予算がつかないため、それらの必要な公共工事ができないでいる。今回も洪水の被害が拡大したのには、そうした「人災」の側面があるのは否めない。治水に関するものなど、必要な公共工事はしっかりやるべきだ。

 海外では、日頃から河川の浚渫を行ったり、コンピュータを利用して河川の上流が一定の水量に達した場合は自治体が住民を強制的に退避させるようになっている。日本はこうした対策も遅れている。

――「森林整備」とは具体的には?

武田 山に根の浅い針葉樹林が増えている。これらは大雨が降ると、土砂崩れを起こしやすくなる。崩れた樹木や土砂が住宅を倒壊させたり、河川の上流から流れた樹木が橋げたなどに引っかかり洪水を起こすこともある。よって、防災の観点より計画的に樹木の伐採や間引きが必要になってくるが、予算の問題や自然保護の観点から反対運動もあったりするため、行政側はこうした森林整備がやりにくくなっている。
(構成=編集部)

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