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『義母と娘のブルース』PTA問題を真正面から描きメチャメチャ面白い!視聴率急増!

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 綾瀬はるか主演の連続テレビドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)の第3話が24日に放送され、平均視聴率は前回から1.1ポイント増の12.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。

 このドラマは、バリバリのキャリアウーマンだった岩木亜希子(綾瀬)が子持ちのサラリーマン・宮本良一(竹野内豊)と結婚し、良一の娘・みゆき(横溝菜帆)の母として奮闘する物語。

 第3話で亜希子は初めてPTAの会合に出席するが、疑問点をいちいち質問したせいで役員たちの反感を買ってしまう。そんななか、みゆきは自分の誕生パーティーに同級生を招くが、当日になって全員にドタキャンされてしまう。みゆきは気付いていなかったが、招いた同級生は全員PTA役員の娘だったのだ。親同士の争いに子どもを巻き込むのは許せないと義憤に燃える亜希子は、一気に奇襲をかけてPTAを廃止しようと打って出た――というストーリーだった。

 亜希子は瞬く間に保護者の3分の1からPTA廃止に賛同する署名を集めるが、途中でそのたくらみが学校とPTA役員にバレてしまう。「ヤカラたちの根城であるPTAをたたきつぶし、廃止に追い込みます」「敵に気付かれぬよう水面下で動き、一気に奇襲をかけます」と大言壮語していたのに、思わぬつまずきである。と思っていたら話のなりゆきで、PTAを関与させずに、亜希子1人で1週間後の運動会を成立させるという話になってしまった。

 並のドラマなら、ここで亜希子が本当に運動会を1人で成功させ、悪の親玉であるPTA会長・矢野(奥貫薫)たちをギャフンと言わせて追放する、という結末になるところだ。

 ところが、そうならないのがこのドラマ。用意を周到に重ねて運動会当日に臨むも、やはり亜希子1人では圧倒的に手が足りず、行事進行が滞り始める。ところがその時、亜希子の働きを見ていた他の保護者たちが自主的に働き始め、みんなの協力で無事に運動会を終えることができたのだった。

 これは予想外の結末だった。このドラマは、ビジネスの世界では向かうところ敵なしの女性が、そのスキルを活かして母親業を完璧にこなしていく、という物語なのかと思っていたからだ。ところが今回、亜希子は「運動会1人で運営する」との宣言を守ることができなかった。結果的には成功したとはいえ、PTAのようなどちらかというと組織運営やマネジメントに近い業務において、彼女がそのビジネススキルだけで押し切ることはできなかったのだ。

 この脚本はすごい。第1話と第2話で「スーパーウーマンが毎回ミラクルを起こして難題を解決する」というさまざまな作品で繰り返されたパターンのドラマと見せかけて、第3話でそれを覆してきたのだ。亜希子は決して完璧な人間ではなかった。むしろ、勝算がないのに勢いで無茶なことを口走ったり、実現性の薄い計画を立てたりしてしまう女性だったのだ。

 とはいえ、ただ突っ走ってしまうだけではなかった。最後には「やはり学校にとって保護者の組織はマストだ」と素直に自分の見解の誤りを認め、PTA会長と和解したのだ。視聴者による亜希子への好感度もグンとアップしたに違いない。

 主人公が悪役をギャフンと言わせるドラマもスカッとしておもしろいが、最終的にみんながわかり合えてすべてが丸く収まるドラマも素晴らしい。ドラマとして成立させやすいのはおそらく前者であり、後者を大人の鑑賞に堪えるストーリーに仕上げるのは難しいのだろうと想像する。いい方向に視聴者を裏切ってきれいな話にまとめた、脚本担当の森下佳子氏には称賛を送りたい。

 亜希子というキャラクターを体現する綾瀬も毎回見事だ。第3話では特に、子どもに手本を示すためにも親は言うべきことを言わなければならない、と副校長らにタンカを切った場面が秀逸だった。あのように眼鏡の奥からキリリとしたまなざしでまっすぐに見据えられ、単純明快に誤りを突かれると、まさにグウの音も出ないことだろう。その後すぐにビジネス口調に戻り、まずは提案を聞くようにと促した緩急自在の演技も見惚れるほどだ。綾瀬はもはや完全に「亜希子」をモノにした観がある。演技とはあまり関係ないと思うが、綾瀬の姿勢の良さも視聴者の間で話題になっている。普段はスーツ姿が多いので目立たなかったが、今回は後半で白のポロシャツを着ているシーンが多かったため、背筋をまっすぐに伸ばして胸を張る美しい立ち姿でバストがさらに強調され、注目を集めたようだ。

 亜希子の作戦には賛同しなかったものの、「でも、亜希子さんの味方です」と手伝ってくれた優しい夫・良一役の竹野内や、表情豊かに生き生きとした演技を見せてくれる子役たちも物語にぴったりハマってきて、非常に良質な作品になってきた。残念なのは、良一に残された日々がそう長くはないことがだんだん明らかになってきたことだ。もっとこの3人家族を見ていたい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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