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『高嶺の花』エセ名言がウザすぎて見るに耐えられず…脚本も支離滅裂で酷評噴出&視聴率急落

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 石原さとみ主演の連続テレビドラマ『高嶺の花』(日本テレビ系)の第3話が25日に放送され、平均視聴率が前回から1.4ポイント減の8.2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。野島伸司氏が脚本を手がける同ドラマは、華道の名門に生まれ、圧倒的な才能と美貌を兼ね備えた月島もも(石原)と、お金も地位もない自転車店主・風間直人(峯田和伸)が繰り広げる「怒濤の純愛エンターテインメント」という触れ込みだ。

 ただ、ここまでの視聴者の評価は、「何をやりたいのか意味がわからない」と、「石原さとみの演技がワンパターンでうるさい」の2つにおおむね集約されており、肯定的な意見はあまり聞かれない。もちろん、そうは言っても数々の話題作を世に残してきた野島氏の脚本であり、後からおもしろくなってくるだろうと信じている視聴者も少なくないはずだ。筆者もその一人だが、さすがに第3話を見てそうも言っていられなくなった。「野島伸司、ヤバいんじゃないのか」という思いで頭がいっぱいになってしまったからだ。

 そう感じたポイントはいくつかある。まず、登場人物たちの心情がほとんど描かれていないために、それぞれがなんの脈絡もなく行動しているようにしか見えない点を指摘したい。たとえば、月島なな(芳根京子)。前回は宇都宮龍一(千葉雄大)を月島一門の敵として毛嫌いしており、第3話でも龍一がももに接近するのをやめさせようとしていたのに、後半ではノコノコ彼のショーを見に行ったり、勝手にももの代役として彼に会いに行ったりする謎の心変わりを遂げた。しかもなぜか急にブラック化し、自分が家元になって龍一と結婚することをにおわせるような発言までする始末。ちょっとついていけない。

 直人も、準主役でありながらどういう人物なのかいまだにわからない。とんでもなく頭が良く、人の心を読めたり操作したりできるかのような描写がある一方で、ももの心情をまったく理解できずに怒られたりする場面があり、頭がいいのか悪いのか、人の気持ちがわかるのかわからないのか、見ているこちらが混乱してしまう。

 家出中の中学生にスマホでメッセージを送り続ける描写も、壮大な伏線なのだろうといくら頭で補完しても、意図がわからなすぎて気持ちの悪さを感じる。今回は自転車がパンクしたので家出をやめて帰ろうとした中学生に向かって、「もしかして、そのうち人を狙うかもしれないね」と送信していた。なんなんだ、その論理の飛躍は。謎を小出しにしすぎて、視聴者の興味を引くどころか「わけがわからなすぎてどうでもいい」と思われていることに野島氏は気付いたほうがいい。

 劇中で登場人物が話す名言のようなものがこくごとく滑っているのも気になって仕方がない。胸にぽっかり空いた穴をチョコレートでくるめば痛みを忘れられる、という直人の演説も、「自分の庭に花を咲かせもしない奴が他人の庭に水をくれようとするな」というももの逆ギレも、「色恋を捨てればもう一人の自分が現れる」という家元(小日向文世)の教えも、どれもこれもよくこんなにわけのわからない理屈を考えられたな、という感想しか出てこない。たとえ話としても下手くそだし、「もう一人の自分」うんぬんについては、その設定にこれからも付き合わなければならないのかと思うとうんざりするほどだ。

 全体的に古くさいのも目に付く。特にひどかったのは、ももや商店街の仲間たちが直人の話を聞きながら「何日も?」「何カ月も?」「何年も?」「何十年も?」とたたみかけるくだり。そんな会話があってたまるか。ももが最後に「『きみに読む物語』ね」と付け足すのも鼻につく。言う必要あるのかと疑問に感じる。

 ももがいきなりキレて直人にコップの水をぶちまけたりするのも、なんだかなあという感じだし、チョコレートを「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」とウザい感じで言うのも、「これはウザい演出ですよ」とわかりやすくしているんだろうなあとわかってはいても、あえて「ウザいわ」と言いたくなる。

 商店街の面々が繰り広げた「どんなささやかなお庭にも自分の花、自分の物語はあるってことよ」「物語は責任かあ」などという、一見するといいことを言っているようでよく意味のわからない会話シーンも退屈で仕方がなかった。どうせ説教くさいシーンを入れるなら、もう少し意味のあることを言わせてほしい。

 全体の構成もなっておらず、人々がよくわからない行動をしたかと思えばわけがわからないうちに場面が切り替わり、また違う人々がよくわからない行動を繰り広げる――という繰り返しで、あまりにもつまらなく、時間が長く感じた。恋愛ドラマのはずなのに、変な陰謀やら登場人物の抱える過去などばかりが描かれて、全然楽しくなってこない。一応最後には唐突にももと直人のキスシーンが描かれたが、ももの心情の変化が描かれていないため、直人のどこに惹かれたのかが全然わからなかった。恋愛パートで恋愛を描けないのは、ドラマとして終わっていると言われても仕方がないのではないか。

 ただ、ようやく第4話からはももと直人の関係が少しは前進するようだ。視聴率的にはすでに厳しいとは思うが、中盤に差し掛かるここで盛り上げることができないと、超低空飛行のまま終わりそうだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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