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どうしたフジテレビ!月9の『絶対零度』も視聴率2桁キープ&うなぎ上りで復活の兆し?

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 連続テレビドラマ『絶対零度 未然犯罪潜入捜査』(フジテレビ系)の第4話が7月30日に放送され、平均視聴率は前回から0.9ポイント増の11.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。前回に続いて自己最高を更新した。

 ここ数年、視聴率低迷が叫ばれていたフジ月曜9時台のドラマ、通称「月9」。前クールの『コンフィデンスマンJP』は、視聴率で見ると大ヒットとはいえなかったが、評価は高かった。さらに今クール木曜10時枠で放送されている『グッド・ドクター』は視聴率が好調で、評価も高い。フジテレビのドラマに復活の兆しが出ているといえるのかもしれない。

 このドラマは、元公安のエリート・井沢範人(沢村一樹)率いる「未然犯罪捜査班」の活躍を描く物語。警察が極秘に開発した「未然犯罪捜査システム(ミハンシステム)」が割り出した情報に基づいて殺人事件を犯そうとしている人物を捜査し、その犯行を未然に防ぐのが彼らの任務だ。

 第4話は、これまでに放送された3話分とがらりと趣が変わった。端的に言うと、テレビ朝日の刑事ドラマに代表される「人情系刑事ドラマ路線」に大きく舵を切ったのだ。ミハンシステムが危険人物と判定した銀行員・佐伯卓郎(小野了)は、自殺した親友・岡本の一人娘である由梨をずっと陰から見守っているという善人だった。

 捜査の結果、由梨の父・岡本は誤って人を殺してしまい、いったんは佐伯の勧めで隠蔽したものの、良心の呵責に耐えかねて自殺したことがわかる。佐伯は、事実をそのまま由梨に話せば彼女が殺人者の娘になってしまうと思い、銀行員である自分が融資を打ち切ったせいで岡本は自殺した、というウソの話をでっち上げていた。当然佐伯は由梨に親の仇として憎まれるが、その後もずっと彼女を見守り続け、由梨の母親を装って励ましや気遣いの言葉をつづった絵葉書を送り続けていた。

 だが、一連の事実をかぎつけた立石という男が佐伯をゆするようになり、佐伯が金を用意できなくなると「由梨に本当のことを話す」と言い始めた。佐伯はそれだけは阻止しようと考え、正当防衛を装って立石を殺すために銀行強盗を手引きすることにした――という展開だった。

 亡くなった親友の娘を長年陰から見守り、彼女のために殺人まで犯そうとした、というストーリーはどこかに今まであったような既視感満載だが、裏を返せば安定感がある。最後に由梨が“母親”から届いていた絵葉書が実はすべて佐伯が送っていたものだと知り、佐伯と和解してともに泣き崩れる場面の「お涙頂戴感」も刑事ドラマのテンプレートに沿っていて悪くない。

 だが、せっかく「ミハンシステム」なる新規設定を導入したわりに、随分平凡な刑事ドラマになってしまったなあとの思いもぬぐえない。今回の見どころといえば、小田切唯を演じる本田翼の銀行員コスプレと、その本田が太ももがあらわになるのも構わずに銀行強盗と大立ち回りを繰り広げた激しい格闘シーンくらいだ。それ以外はごく普通の刑事ドラマで終わってしまった。

 ミハンシステムについての描写も怪しくなってきた。これまでは、対象者が毒物を購入したなど、わかりやすい兆候をとらえて「危険人物」と判定していたのに、今回は佐伯を危険人物と判定した根拠は一切示されなかった。ミハンシステムはビッグデータを基に危険人物を割り出すのであって、エスパーではないのだから、なんの根拠もなく「この人物が殺人事件を起こす」と判定するのはおかしい。これは、設定がいまだに定まっていない証拠だと思われる。むしろ、脚本家がミハンシステムを持て余していると考えたほうが正しいのかもしれない。第4話もミハンシステムの設定がなくても成立する話であり、無理やりねじ込んだような感じが否めない。

 とはいえ、2週続けて視聴率が上昇している現状を踏まえれば、ミハンシステムなどという、よくわからない設定を持ち込んだ小難しいドラマよりも、1話で必ず悪が倒され、お涙頂戴の場面もある「人情系刑事ドラマ路線」のほうが視聴者には好まれるのかもしれない。ここまでで、『必殺仕事人』的な謎の人物の存在や、外国で死んだことになっている桜木泉(上戸彩)の真相など、ややこしいことになりそうな設定を盛り込んでいるだけに、どう軌道修正するのか、あるいはしないのかが気になってきた。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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