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早稲田と慶應にトップ高校出身者が行かなくなった理由…「早慶より地方の国公立」が鮮明に

構成=編集部
早稲田と慶應にトップ高校出身者が行かなくなった理由…「早慶より地方の国公立」が鮮明にの画像1早稲田大学の大隈講堂(「Wikipedia」より/Arabrity)

「早稲田といえば政経、慶應といえば経済」――そんな親世代の常識はもう古いらしい。学内ヒエラルキーをはじめ、学生の気質から受験の現場に至るまで、「私学の雄」と評される早稲田大学慶應義塾大学に大きな変化が起きているという。

 今、早慶に何が起きているのか。両大学をあらゆる角度から徹底比較した『早稲田と慶應の研究』(小学館新書)の著者でライター・編集者のオバタカズユキ氏に聞いた。

早慶内の“階級意識”に驚きの変化

――「早慶」とまとめて語られることの多い両大学ですが、近年の変化について教えていただけますでしょうか。

オバタカズユキ氏(以下、オバタ) 本書では、早稲田と慶應の比較とともに、現在の受験生、在校生とその親世代との比較、経時的な変化の把握に力を入れています。いろいろな変化があって親世代は驚きますが、一番反応する方が多いのは学内ヒエラルキーではないでしょうか。

早稲田と慶應にトップ高校出身者が行かなくなった理由…「早慶より地方の国公立」が鮮明にの画像2『早稲田と慶應の研究』(小学館/オバタカズユキ)

 30年前は、早稲田では政治経済学部が最上位で、次いで法学部、第一文学部・商学部、教育学部、その下に夜間学部の社会科学部、第二文学部……というイメージでした。現在も政経、法が最上位であることは変わりませんが、2004年にできた「国際教養学部(通称:SILS<シールズ>)」が第2の看板学部になっているほか、「誰でも入れる」と言われていた社会科学部が大躍進しており、偏差値的には法学部と同水準になっています。09年より昼間学部になったことに加え、学際的な学びを是とする風潮が追い風になっており、親世代がもっとも驚く変化でしょう。

 慶應では、“天上人”の医学部を除くと経済学部が看板学部でしたが、現在のトップは法学部政治学科、その次に法学部法律学科、経済学部という階級意識になっています。入試制度の違いもありますが、河合塾の2018年度偏差値では、法学部は両学科とも偏差値70.0に対し、経済学部はB方式(地理歴史受験)では70.0、A方式(数学受験)で67.5となっています。かつて「あほう学部お世辞学科」と呼ばれた法学部政治学科が看板だった経済学部を抜いて、今や慶應のエースとして君臨しているわけです。

 慶應の場合は慶應義塾高校出身者を中心とする内部生の進学人気順が色濃く反映されており、取材では「政治学科のほうが法律学科より単位取りが楽」「経済だと数学があって大変」という声が聞かれました。是非はともかく、内部生の「コスパ意識」が強まっています。

「両大学を受かった学生がどちらを選ぶか」という点でいえば、現在は圧倒的に慶應を選ぶ受験生が多いです。1984年の受験生だった私の頃は、どっこいどっこいか早稲田が優勢だった記憶があります。1990年代に早稲田がマスプロ教育バッシングを受けるなか、慶應は巧みな広報戦略でSFC(湘南藤沢キャンパス)の斬新さをアピール、さらに就職活動においても慶應的な価値観が評価されるようになり、受験生の人気は定着した感があります。

『早稲田と慶應の研究』 「早稲田の政経、慶應の経済」と言われたのは昔の話。私学の両雄に今、大きな変化が起きている。バンカラを知らない早大生。ファッション誌の登場回数でワセジョに抜かれた慶應女子。偏差値、志望者数、早慶ダブル合格の際の進学先。司法試験などの難関試験対決にも異変あり。政財界のOB・OG人脈など、卒業後にも及ぶ早慶戦の“昔と今”を、さまざまな角度から取り上げる。早慶OB&受験生の親必見の目からウロコの新・早慶研究本。 amazon_associate_logo.jpg

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