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身売りの大塚家具、最大リスク要因は久美子氏の「社長職への執着」…経営失敗を認めず

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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身売りの大塚家具、最大リスク要因は久美子氏の「社長職への執着」…経営失敗を認めずの画像1大塚家具の大塚久美子社長(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 8月に入り、大塚家具の身売り交渉が大詰めを迎えているとの観測が広まっている。大塚家具の経営支援の有力候補とみられているのが、貸会議室大手のティーケーピー(TKP)だ。ヨドバシカメラも支援に関心を持っていると報じられている。

 今後の大塚家具の経営を考えた時、最大のリスク要因は、大塚久美子社長の“社長のイス”へのこだわりの強さだろう。2015年に父から娘へ社長が交代して以降、大塚家具の業績は悪化の一途をたどっている。大塚家具は利益の減少を食い止めるために、リストラを進めてきた。それでも、大塚家具の業績が上向く兆しは感じられない。

 にもかかわらず、現社長は自らの経営判断の誤りなどを、潔く認めようとしてこなかったといえる。むしろ苦境が深まるなか、自らの考えにしがみついてきた。その結果、顧客離れが続いている。それは、経営者として致命的な資質の欠如といわざるを得ない。

 すでに、アパレル、商社、投資ファンドなど、数多くの企業が大塚家具の増資引き受けなど、支援を提案してきたと報じられている。しかし、大塚社長の処遇をめぐって大塚家具とスポンサー候補企業との交渉は難航してきたようだ。今後も、大塚家具のスポンサー選びは難航する可能性がある。

社会の公器を親子喧嘩の場と化してしまった大塚家具

 大塚家具の経営は、企業の目的は何かを考える良いケーススタディーだ。企業の目的は、株主を中心に、従業員、顧客、地域社会との持続的かつ前向きな関係を構築し、そのなかで付加価値を獲得することにある。企業は、社会の公器だ。どのような企業であれ、ゴーイング・コンサーン(永続的な事業体)として、社会と良好な関係を維持・強化していくことが欠かせない。

 こう考えると、大塚家具は企業に求められる取り組みを理解しないまま、経営を進めてきたといえる。特に近年の大塚家具は、父と娘による経営権争奪の場と化してきた。

 2015年、同社では経営方針をめぐって父(大塚勝久氏)と娘(久美子現社長)が骨肉の争いを演じた。まさに、親子の喧嘩だ。おそらく、父の胸には「娘だから、何を言っても大丈夫。父親のいうことはきっと聞いてくれる」という思いがあっただろう。

 しかし、娘は父に反発した。その結果、親子間での非難の応酬が激化し、多くの株主を巻き込んだ委任状争奪戦につながった。当時の状況に関して、「この父と娘には、株主価値や顧客満足度、従業員の安心などを一顧だにしない姿勢が感じられた」との印象を口にしたアナリストもいた。

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