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『西郷どん』笑福亭鶴瓶が怪演も視聴率急落で1ケタ台目前…ヤマ場の倒幕シーンで復活なるか?

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 鈴木亮平が主演を務めるNHK大河ドラマ『西郷どん』の第30回が12日に放送され、平均視聴率は前回より1.3ポイント落ちて自己ワーストの10.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。お盆期間であることが影響したのか、あるいは前週をほぼ丸ごと西郷吉之助(鈴木)の結婚話に費やしたことで視聴者離れを招いたのかは定かでないが、ここからがヤマ場というところでのこの失速は痛い。

 今回は「怪人 岩倉具視」という、なんとも不気味なサブタイトルだったが、笑福亭鶴瓶演じる岩倉は、どちらかというと「変人」と表現したほうがふさわしいキャラクターだった。ほぼ鶴瓶本人の素に見えるし、そうした感想も多かったようだが、あれは「本人の持ち味を生かした演技」と評するのが正しい。京都政局に返り咲く野望や情熱をふつふつと胸の内にたぎらせながらも、いつまでたってもかなわぬことへのいら立ちを募らせている様子がよく表現されていた。

 言い合いになった大久保一蔵(瑛太)と桂小五郎(玉山鉄二)が互いに刀を抜き、今にも斬り合いを始めるやに見えたその瞬間、すかさず「はいはい、はいはい、そこまで」と割って入った場面も、すごみを感じた。言葉こそ軽いが、決して逆らえない威厳や貫録を感じさせ、岩倉がただの変人ではないことをうかがわせる。ドラマ公式サイトによれば、この台詞は鶴瓶のアドリブだったという。長年のキャリアを感じさせる良いシーンだった。

 吉之助と岩倉との出会いから岩倉の復権までを1話で終わらせたテンポのよい展開もいい。岩倉はキャラが濃いので、今後描かれるであろう吉之助との絡みが楽しみだ。

 一方で、岩倉具視が皇女和宮と14代将軍家茂との婚姻を推し進めた人物であるという説明を会話やナレーションでさらりと終わらせたことについては、これしかやりようがなかったのかと疑問が湧いた。もしどこかの時点でその動きも映像で描いておけば、さまざまな勢力が、それぞれの思惑で、いろいろなことを画策している幕末の混沌とした時代背景がもう少しはっきりとしたに違いない。

 このドラマでは、西郷が「幕府を倒す」との考えに突き進んでいることは描かれているが、それ以外にどんな勢力が、どんな思想で活動しているのかは、ほとんど描写されていない。また、西郷が倒幕を目指す理由も、幕府の中枢にいる一橋慶喜がロクでもない人物だから、という一点ばかり強調されている。これでは、話が矮小化してしまう。

 とはいえ、今回で明治維新の立役者はほぼ出そろい、薩長同盟、そして倒幕というヤマ場が間近に迫ってきた。ここまでを見る限り、脚本の中園ミホ氏には史実の新解釈などのひねった展開は無理だろう。素直に史実をなぞった定番のストーリーを描くだけでもそれなりにおもしろいと思うので、残りの回がそうなっていることを願う。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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