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『義母と娘のブルース』、『逃げ恥』現象再来で視聴率20%超えも?伏線を見事に回収

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 綾瀬はるか主演の連続テレビドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)の第7話が21日に放送され、平均視聴率は前回から1.2ポイント増の15.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ/以下同)だったことがわかった。これで3週連続の自己最高更新となり、今期の民放連続ドラマとしても視聴率トップの座を維持している。

 このドラマは、バリバリのキャリアウーマンだった岩木亜希子(綾瀬)が子持ちのサラリーマン・宮本良一(竹野内豊)と結婚し、良一の娘・みゆき(横溝菜帆/上白石萌歌)の母として奮闘する物語。

 良一の死後は働きに出ず、貯蓄をベースに不足分をデイトレードで稼いでいた亜希子は、それがみゆき(上白石萌歌)に「楽して稼げる方法がある」と勘違いさせていたことを知り、廃れているパン屋「ベーカリー麦田」で働くことを決める。キャリアウーマンとしての経験を生かして同店を再生し、自分の姿を通してみゆきに仕事の尊さを伝えようというのだ。

 一方、勉強が苦手なみゆきは大学受験に向けて必死に勉強に取り組むが、パン屋の再建に向けて日夜奮闘する亜希子の姿を見て、劣等感を抱くようになっていた。「自分は亜希子の本当の娘じゃないからどこも似ていないし、こんなバカな娘は期待外れに違いない」との思いに捕らわれたみゆきは、それをそのまま亜希子にぶつけてしまう。自分が「できる」人間であるせいで娘が重圧を感じていたことを知った亜希子は、ショックを隠せない。ベーカリー麦田の店主・麦田章(佐藤健)は亜希子の様子がおかしいことに気付き、何があったのかと話を聞き出す――という展開だった。

 麦田は、良一が生きていた9年前の時点でもチョイ役で登場していたが、そのたびに言い間違いや書き間違いをするなど、おバカキャラとして描かれていた。パン屋の店主として本格的に亜希子と関わるようになってもおバカぶりは相変わらずで、宮本姓の亜希子はずっと「岩本さん」と呼び間違えられる。

 この「麦田のおバカ設定」を正直ウザいと感じていた視聴者もいたことだろう。たまに笑わせてくれるくらいならいいが、毎度毎度わざとらしい言い間違いをされても、「またかよ」と思ってしまう。ところが今回、これが見事なかたちでメインストーリーに回収された。

 麦田は腕の良いパン職人だった父親と常に比較され、「親父は立派なのにお前は……」と言われ続けてきたのだという。だから、みゆきの気持ちもわかる。けれど、みゆきは亜希子の実の娘ではないのだから、似てなくて当たり前。もし血がつながっていたら、みゆきは今ごろグレていたかもしれない。ものは考えようで、血がつながってなくて良かったではないか――。

 麦田の言葉にハッとさせられた亜希子は、折しも店を訪ねてきたみゆきと「私が悪かった」「いえいえ私のほうこそ」と謝罪合戦を繰り広げ、ついには親子で向かい合って互いに土下座する。頭を上げた2人は、互いを見つめ合って楽しそうに笑い合うのだった。亜希子とみゆきが確かに親子であることを端的に描く良い場面であり、2人が10年かけて築いた深い心のつながりに思わず泣き笑いさせられた。

 麦田が亜希子を「岩本さん」と間違って覚えていた件も思わぬ形で回収されたし、小学校時代は聡明に見えたみゆきがそこそこのおバカに育っていた件も、幼なじみの大樹(井之脇海)がその理由を解き明かしてくれた。大樹は言う。亜希子は、勉強ができるかどうかはどうでもいいと思っているから、みゆきに強制してこなかったのだろう。それより、みゆきの生まれ持ったいいところを大事にしてほしいと思っているのではないか。でなければ、あの亜希子がそんな風に育てるわけがない――と。

 なぜだろう、と思っていた違和感がことごとく回収され、しかもそれがすべて亜希子とみゆきの親子関係を描くストーリーに収束していく展開に、「そうきたか」という驚きと感動で胸がいっぱいになった。

 朝の連続テレビドラマ『半分、青い』(NHK総合)では、言葉少なで煮え切らない感じの役柄を演じている佐藤健も、思いっきりバカでチャラくて、なおかつ単純な“いい奴”を楽しそうに演じていて、見ているこちらも楽しくなってくる。亜希子は麦田について「言葉遣いが学生のようで、敬語もまったく使えず、社会人としてのベースが著しく欠如している」としつつも、「ただし、なぜかさほどの悪印象は受けない」と分析してみせた。この文言はまさに佐藤演じる麦田に寸分の違いもなく当てはまっている。また、麦田の友人が、彼のつくるパンについて「味はいまいちだけど形だけはいい。まんまお前」と評したのも、麦田役がイケメンだからこそ成立する台詞だ。佐藤をキャスティングしたことも、佐藤の演技も神レベルでこのドラマにぴったりハマっているといえよう。

 中盤から視聴率をどんどん伸ばしている本作は、完全に「評判が評判を呼ぶ」パターンに入った。登場人物が少ないので途中の回から見始めてもわかりやすく、詳しいストーリーはわからずとも「なんだかおもしろくてほんわかするいいドラマだなあ」と思えるつくりになっており、終盤ではさらなる上積みも期待できそうだ。2016年放送の同枠の『逃げるは恥だが役に立つ』も同じような現象を起こし、最終回は20.8%をマークしたように、本作も20%超えを期待できるかもしれない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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