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片田珠美「精神科女医のたわごと」

吉澤ひとみ、アルコール依存症とコントロール障害の可能性…女性のほうが要注意

文=片田珠美/精神科医
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 酒気帯び運転でひき逃げ事件を起こし、逮捕・起訴された吉澤ひとみ被告が、保釈後埼玉県の病院に入院したと、今週発売の複数の週刊誌で報じられた。この病院は、ロケ先の滞在ホテルで女性トラブルを起こした高畑裕太や、女子高校生への強制わいせつ容疑で書類送検された山口達也が入院していたことで知られる心療内科専門病院である。

 吉澤被告は、以前から酒好きで有名で、酒癖の悪さを他の芸能人から指摘されていたらしい。また、酩酊状態で番組収録に現れたとか、早朝にもかかわらず酒臭かったという証言もある。そのため、アルコール依存症の疑いが取り沙汰されているが、その可能性が高いと私も思う。

女性のほうがアルコール依存症になりやすい

 女性はアルコール依存症になりにくいと思っている方がいるようだが、これは誤解だ。実は、女性ホルモンなどの関係で、女性のほうが酒の影響を受けやすく、依存症になりやすい。酒を習慣的に飲み始めてから依存症になるまでの平均年数が、男性は20年なのに対して、女性は10年未満と約半分という統計もある。

 さすがにモーニング娘。のメンバーだった頃は酒をそんなに飲んでいなかったと信じたいが、卒業が2007年なので、それ以降に習慣的な飲酒が始まったとしても、すでに10年以上経っている。しかも、独身時代は自宅に30種類以上の酒を常時完備し、酒豪として知られていたということなので、アルコール依存症になったとしても不思議ではない。

 IT企業の社長と結婚してからは、都内一等地のタワーマンションで夫と息子と何不自由なく暮らしているように見えたが、実は育児で悩んでいたようだ。周囲に相談相手がいなかったせいか、精神安定剤を常用し、拘留中も夫が警察署に薬を届けていたとも報じられている。

 こうした状況で、女性がストレス発散のために飲酒し、依存症に陥ることは少なくない。家事をしながら憂さ晴らしのために飲酒しているうちに、やめられなくなるキッチンドリンカーも、その多くが依存症と考えられる。しかし、ほとんどの場合本人に自覚がなく、自分にはアルコールをめぐる問題など存在しないかのように振る舞う

コントロール障害

 私が何よりも心配するのは、吉澤被告が事故の前日、仕事から帰宅後、深夜まで自宅で飲酒していたことだ。事故を起こした当日は早朝から仕事があったにもかかわらず、前夜遅くまでかなりの量の酒を飲んでいたらしいので、酒の飲み方をコントロールできなかったのではないかと疑わざるを得ない。

 酒の飲み方を自分の意志ではコントロールできなくなることを「コントロール障害」と呼ぶ。この「コントロール障害」は、量、時間、状況の3つの点に表れる。

 まず、酒の量を調節できない。「今日は1杯だけ」と思って飲み始めても、飲んでいるうちにやめられなくなり、気がつくと何杯も飲んでいる。吉澤被告は、逮捕された当初、飲酒量を警察に過少申告していた可能性が指摘されているが、これも量の「コントロール障害」によるのではないか。

 また、飲む時間もコントロールできない。「○時まで飲もう」と思って飲み始めても、その時間に切り上げられず、夜中や朝方まで飲み続ける。吉澤被告もその典型のように見受けられる。

 さらに、飲む状況のコントロールもできない。吉澤被告のように、明日早朝から大事な仕事が入っているという場合、本来であれば酒を飲むべきではない。それでも、飲むことを我慢できない。

 この「コントロール障害」はアルコール依存症の核になる部分である。これは、飲酒への渇望が激しく、「飲みたい」という衝動を抑えられないことによる。そのため、飲酒による失敗や問題行動を繰り返していても、酒をやめられないし、飲酒運転のような反社会的行為もやめられない。

 吉澤被告が入院したのは、賢明な選択だと思う。これを機会に「自分はアルコール依存症」という自覚、つまり「病識」を持って、じっくり治療に取り組むべきだろう。
(文=片田珠美/精神科医)

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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