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フジ月9『SUITS』ツッコミどころ満載すぎてネタドラマ化→回り回って鬼面白い

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 織田裕二が主演を務める連続テレビドラマ『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)の第5話が5日に放送され、平均視聴率は前回から2.9ポイント増の11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。前回は初の1桁台に転落したが、すぐに2桁台に戻したことになる。

 この作品は、勝つためには手段を選ばない敏腕弁護士・甲斐正午(織田)と、驚異的な記憶力を持つが弁護士資格を持たない鈴木大貴/大輔(中島裕翔)がバディを組み、数々の案件を解決していく弁護士ドラマ。第5話は、甲斐が雇う運転手・赤城達男(ブラザートム)が起こした交通事故がテーマとなった。

 甲斐は相手方の運転手・糸井公一(半海一晃)に対して全面的に非を認め、示談を勧めるが、糸井は頑として応じようとしなかった。糸井はかつて会社を営んでいたが、特許をめぐる争いで敗れ、会社を失って運転手として細々と暮らしていたのだ。この争いの際に大手企業の代理人として交渉に当たった弁護士こそ、甲斐だった。糸井はこの機に乗じて恨みを晴らすべく、甲斐と自分の会話を切り貼りして加工し、甲斐が弱者を脅迫する悪徳弁護士であるかのようにねつ造した音声にして公開した。果たして甲斐は、交渉の席に糸井を引っ張り出すことができるのか――という展開だった。

 原作のあるドラマなので文句をつけても仕方がないのかもしれないが、「身内の交通事故を解決する話ってしょぼくないか?」と視聴者の多くが思ったはず。ものすごくざっくり言えば、自分で事件を起こして自分で丸く収めたようなもので、マッチポンプ感がすごい。現場の様子が映ったドライブレコーダーの映像が見つかり、糸井の一時停止無視が事故の原因だとわかった――という結末も、ありきたりすぎて驚いた。これでは、弁護士ドラマである必然性がない。一応、毎回それほど活躍しない鈴木の天才的な記憶力は、今回ばかりは「事故直後に現場を通り過ぎる車両がいたことを思い出し、それが証拠映像発見につながった」という展開のおかげで役には立ったが、「いや最初から思い出せよ」とツッコミを入れたくもなる。1クールの折り返しを迎えようかという5話にしては、薄い話だったのではないだろうか。

 鈴木の悪友・谷元遊星(磯村勇斗)の話がいまだに続いているのも、いいかげんにしてくれと言いたい。原作がどうなのかは知らないが、遊星の役割は鈴木が経歴を詐称して弁護士になった時点でとっくに終わっていると思う。そこをあまりにもグタグダと続けてしまうと、本筋である法律ドラマの時間が削られていくだけだ。経歴詐称がバレるリスクを顧みずに「友だちだから……」と遊星との関係を断ち切ることができない鈴木もおかしいし、なんだかんだ言って厳しくとがめない甲斐もおかしい。もし偽弁護士を雇っていることがバレたら甲斐にも累が及ぶはずなのに、随分のん気すぎないか。

 悪友をめぐって起こるトラブルも、描き方が適当すぎる。いかにも怪しい金貸し2人組がよりにもよって弁護士事務所の受付を律儀に訪ねてロビーでおとなしく待っていたり、かと思えば貸金業法違反の証拠を突き付けられてすごすごと退散したりと、破天荒なんだかバカなんだかよくわからない。あまりにも金貸したちがバカなので、せっかく丸腰の鈴木が勇気を奮って弁舌だけで敵をやり込めたのに、なんの爽快感も生まれなかった。いい場面のはずなのに、脚本が大ざっぱすぎるせいで無駄な尺を使っただけになってしまったのは残念だ。

 無駄な尺といえば、甲斐のライバルである蟹江貢(小手伸也)が甲斐の秘書・玉井伽耶子(中村アン)を自分に貸してほしいと言い出したり、玉井がそれを逃れようと屋上から飛び降りるふりをしたりする茶番もよく意味がわからなかった。ストーリーの中でどこにも絡んでいなかったが、何をしたかったのだろうか。登場人物が漫画・アニメの『ONE PIECE』の台詞を言い合う演出も意味不明だ。ドラマとして毎回「そこそこ」のレベルではおもしろいのに、無駄な場面に時間を割いて事件解決の描写がおろそかになっている感じがあるのは、非常にもったいない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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