ビジネスジャーナル > エンタメニュース > 『けもなれ』不気味なホラー映画化
NEW

『獣になれない私たち』不気味なホラー映画化でネット悲鳴「怖い怖い怖い」「トラウマに」

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 新垣結衣と松田龍平がダブル主演を務める連続テレビドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)の第5話が7日に放送され、平均視聴率は前回から1.6ポイント増の8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。

 このドラマは、新垣演じるECサイト制作会社の営業アシスタント・深海晶と、松田演じる会計士・根元恒星による「ラブかもしれないストーリー」だという触れ込みで始まった。放送前こそ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の脚本・野木亜紀子と新垣の組み合わせで注目を浴びたが、実際には話がつまらない上に新垣のかわいさもほぼ封印されており、視聴者からも酷評されているのは周知の通りだ。

 第5話もかなりヤバかった。もはや役者がどうこういうレベルではなく、脚本が壊滅的にひどい。一応、第5話で描かれたことを順に並べると、次のようになる。晶は婚約者・花井京谷(田中圭)の留守中に部屋を訪ね、4年もそこに居座る京谷の元カノ・長門朱里(黒木華)と直談判に及ぶ。その後、突然ニコニコして快活に働くが、精神を病み始める。なぜか京谷の母・千春(田中美佐子)に電話し、長々と昔話を聞かされる。その翌日、京谷を遠ざけるために路上で恒星とキスをしているところを見せつける――と、およそこのような流れだった。

 問題なのは、これだけのことが描かれたのに、晶の行動がその次の行動となんらつながっていないことにある。朱里との直談判もなんの意味もなかったし、その後なぜ躁状態になったのかもまったく意味不明。頼れる相手もなく、わらにもすがる思いで婚約者の母に電話したらなんの意味もない話を延々と聞かされたのに、翌日になったらちょっと精神状態が収まっているのもわけがわからない。挙句の果てに、「京谷と会えば許してしまうから」と好きでもない相手ととっさに路上キスをするとか、頭がおかしいんじゃないのかと思う。「とりあえずガッキーを動かしてみました」というだけで、およそドラマとしての体裁を成していない。

 毎回言うようだが、『獣になれない私たち』というタイトルなのに、新垣演じる晶が結構「獣」なのも根本的におかしい。今回にしても、彼氏を遠ざけるためにとっさに抱き合うふりをするくらいならギリギリわかるが、好きでもない相手とためらいもなく偽装で路上キスまでできる女性が「獣」じゃなくてなんだというのか。

 第5話は、演出もひどかった。なかでも視聴者が「怖い怖い怖い」「急にホラー映画になった」「トラウマになりそう」とこぞって悲鳴を上げたのは、前述の晶が急に快活に働き始める場面。テキパキと笑顔で仕事をこなす晶はとても明るくてかわいいのだが、そこに流れるBGMは何やら不穏な感じのする「幸せなら手をたたこう」の鼻歌。そこに社長が怒鳴り散らす映像と音声がかぶり、さらに鼻歌に合いの手を入れる誰かの手元だけが映し出された。終始不気味でならず、ひたすらこのクソ演出が終わることだけを願った。明るく振る舞う晶の外面と、壊れつつある内面を対比させる演出であることは十分わかるのだが、延々としつこくやり続けるのは度を越しているし、ホラードラマでも社会派ドラマでもないのだから、視聴者を怖がらせる必要もないだろう。完全に演出家の自己満足でしかない。

 京谷の母・千春が夫とのなれそめを晶に語って聞かせる場面で、突然再現ドラマが始まったのも意味が分からなかった。わざわざロケまでして、若手の女優まで使って、特に内容のない再現ドラマを何分間も流す意味とは、なんだったのだろうか。特に今後何かの伏線になっているとも思えないし、現に千春の昔話はその後の晶の行動になんの影響も与えなかった。「ベタなことはやらない」とかっこつけているつもりかもしれないが、5話まで回が進んでも脈絡のない話を延々と続けているようでは、救いようがない。こんなクソドラマに出演してしまった役者たちがかわいそうだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

『獣になれない私たち』不気味なホラー映画化でネット悲鳴「怖い怖い怖い」「トラウマに」のページです。ビジネスジャーナルは、エンタメ、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!