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『西郷どん』残りあと3話!クライマックスの西南戦争に突入、見どころはココ!

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 鈴木亮平が主演を務めるNHK大河ドラマ『西郷どん』の第44回「士族たちの動乱」が25日に放送され、平均視聴率は前回から0.8ポイント増の12.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。

 政府を去った西郷隆盛(鈴木)の後を追って、薩摩出身の士族たちが続々と政府の役職を辞し、薩摩に帰ってきた。その筆頭格である桐野利秋(大野拓朗)は「東京に戻って政府を立て直してほしい」と西郷に頼むが、西郷は一向に動こうとせず、600人にも上る士族たちの間には政府への不満が募っていた。そんな時、西郷と同時期に政府を去った佐賀の江藤新平(迫田孝也)が不平士族を集めて蜂起するも、あっという間に政府に鎮圧されるという事件が起こる。このままでは薩摩士族もいつ暴発するかわからないと考えた西郷は、士族を集めた「私学校」を設立し、彼らに教養と軍事教練を授けることにした――という展開だった。

 自分を追って薩摩に帰ってきた者たちを当初は相手にしなかったものの、政府への不満をエスカレートさせていく彼らを放っておくことができず、学校をつくるという苦肉の策に打って出た西郷の苦悩がよく表現されていたように思う。

 西郷は、岩倉具視(笑福亭鶴瓶)や大久保利通(瑛太)らのやり方に抗議して政府を去った。それなのに、自分を慕ってついてきた者たちに対して「東京に帰れ」「政府のために励め」といくら言ったところで、説得力などないに等しい。「西郷先生をだまし討ちで追い出すような政府に仕えろと言うのか」といきり立つ彼らのほうこそ筋が通っている。

 仮に西郷が私学校を設立しなかったとしたら、薩摩士族による反乱や暴動が起こったかもしれない。たが、おそらくそれは西南戦争に比べればはるかに小規模なもので、西郷がその首謀者として命を落とすこともなかったのではないだろうか。結局、彼らを暴発させないために設立した私学校が、西南戦争を引き起こすことになるのだから、なんたる歴史の皮肉だろうかと切ない気持ちにさせられた。

 いずれにせよ、今年の大河ドラマは、あと残すところわずか3話しかない。次回はいよいよ西郷が政府に反旗を翻すようだ。見どころは、戦争そのものの描写ではない。むしろ、大久保と対立して地元に帰ってきた今回の時点ですら、「鹿児島から政府を支える」と宣言していた西郷が、どうやって心変わりするのかという過程である。また、戊辰戦争でたくさんの人を死なせたことをかなり後悔していた彼が、再び若い命が多数散るであろう戦争を始めることについて、自分の中でどう整合性をつけるのかも、しっかり描いてほしい。

 ちなみに、西郷が倒幕の際に、それまでとは打って変わってやたらと非情な人間になったことについては、結局、劇中で明確にその理由が説明されることはなかった。これについては、「脚本家が史実の解釈を放棄した」といってよい。だが、西南戦争の描写では同じ過ちを繰り返してほしくない。西郷はお人好しだから周囲に押されて蜂起したのか、それとも最後にもう一度ブラック化して本気で政府と戦おうとしたのか、はたまた大久保のために自分が犠牲となって不平士族を一掃しようとしたのか、『西郷どん』なりの解釈を視聴者に見せてほしい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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