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『いだてん』は大河ドラマの革命!視聴者を引き込むクドカンの演出に脱帽!

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 NHK大河ドラマいだてん』の初回が6日に放送され、平均視聴率は15.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。前作『西郷どん』の初回視聴率(15.4%)とほぼ変わらない数字で、「とりあえずは初回を見てみよう」とチャンネルを合わせた視聴者が多かったことがうかがえる。

『いだてん』は、異例の大河ドラマとして放送前から注目されていた。戦国武将も幕末の偉人も登場せず、その代わりに日本人初のオリンピック選手・金栗四三(中村勘九郎)と、1964年の東京オリンピック招致に深くかかわった田畑政治(阿部サダヲ)の2人がリレー形式で主人公を務める。明治以降の近現代のみが舞台となる大河ドラマは33年ぶりであり、スポーツ選手が主人公になるのは大河史上初だ。脚本を手掛けるのは、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の大ヒットでも知られる人気脚本家・宮藤官九郎。

 これに対し、「大河ドラマらしくない」といった批判もかなり上がっていたのは事実だ。インターネット上には、「いだてんを大河ドラマとは認めない」として、「2019年は大河ドラマが放送されない」と主張する強硬な意見も見られた。

 だが、「いだてんは大河ドラマにふさわしいか」などという明確な基準のない論争は、『いだてん』の前には無意味だったといえよう。そんなことがどうでもよくなるくらいおもしろく、60分間があっという間に過ぎてしまう素晴らしい作品であった。

『いだてん』初回の良さを語り始めると、とんでもない文字数になりそうなので、泣く泣くかなり割愛するが、何よりも好感が持てるのは「熱量」である。役所広司演じる嘉納治五郎は、まだ誰も競技スポーツの意義を理解する人がいない時代に、日本人をオリンピックに送り出そうと孤軍奮闘する。断られてもバカにされても決してくじけず、目標に向かって着々と準備を進める様子には、胸が熱くなる。

 嘉納治五郎とは違う意味で暑苦しい「天狗倶楽部」の面々も魅力的だ。エリート集団によるスポーツ愛好会なのだが、声はデカいし動きは派手だし、何かといえばすぐに脱いで酒をガバガバ飲む。一言で言えば“おバカ”なのだが、何事にもまっすぐに取り組む人の良さはにじみ出ている。「我らはスポーツを愛し、スポーツに愛され……」とお笑い芸人のサンシャイン池崎みたいな台詞を言ったかと思えば、天狗倶楽部の天狗をミュージシャンのDAIGOみたいに「TNG」とアルファベットで略したりと、非常にイマドキでもある。当初は敬遠していた嘉納治五郎も、ほどなくしてオリンピックへの選手派遣を目指して彼らと協力するようになった。一人でも熱い嘉納治五郎に、さらに暑苦しい天狗倶楽部が加わることで、ドラマの中の熱量はぐんぐん上がっていく。この先どうなるのか、楽しみでならない。

 演出の良さも目立った。特に、大騒ぎする天狗倶楽部の様子を映し出し、「さすがに創作しすぎだろ」と視聴者の誰もが思った瞬間に「明治の世に、こんなにうざくてチャラい輩がいるわけないと思うでしょうが、残念ながら実在したんです」と、実際の写真を交えた解説が挿入されたのは秀逸。「こんな奴いるわけないだろ」と思いながら見るのと、「へえ、明治に本当にこんなことがあったんだ」と思いながら見るのとでは、感情の揺さぶられ方がまったく違う。筆者もまんまとハマってしまい、天狗倶楽部の面々についてもっと知りたくなってしまった。

 金栗四三がマラソンのトップランナーとして競技場に姿を現した、ラスト直前のシーンも最高だった。大雨で紅白帽の赤い色が落ちてしまったため、金栗の顔には何本もの赤い線が歌舞伎の隈取のようにくっきりと描かれていた。言うまでもなく、金栗役の中村勘九郎が歌舞伎役者であることにちなんだ演出だろう。ラスト直前まで主人公を登場させず、やっと登場したと思ったら小さくしか画面に写らず、最後の最後にようやくアップで映ったと思ったら、どーんと「歌舞伎メイク」である。NHK、やることがニクい。

 ドラマ公式Twitterによれば、帽子の染料が金栗の顔に垂れてきたのは事実として記録に残っているという。とはいえ、それをそのまま描いてもドラマとしてはあまり意味がなかったはず。垂れてきた染料が隈取のようになっていたという創作を交えることで、印象深いシーンになった。近現代の出来事は資料や記録が多く残っているだけに、それをただ追うだけでは再現ドラマになってしまう。宮藤官九郎やNHKが、『いだてん』をいかに史実を踏まえた創作ドラマとしてつくるのかに注目していたが、初回を見た限りでは大いに期待できそうだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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