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フジ月9『科捜研の男』が『科捜研の女』と『アンナチュラル』の足元にも及ばない“悲惨な出来”

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 錦戸亮が主演を務める連続テレビドラマ『トレース ~科捜研の男~』(フジテレビ系)の初回が7日に放送され、平均視聴率は12.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 このドラマは、陰惨な過去を持つ科捜研法医研究員・真野礼二(錦戸)が現場に残された痕跡をもとに、事件の真相に迫るサスペンス。新人の法医研究員・沢口ノンナを新木優子が、捜査一課のベテラン刑事・虎丸良平を船越英一郎が演じる。

 他局の人気ドラマを連想させる『科捜研の男』というタイトルには、「パクリではないのか」「こんなことしてフジテレビは恥ずかしくないのか」といった批判も視聴者から上がっていた。だが、筆者はそれとは違った観点で、このタイトルはまずかったと思う。

 「科捜研」という固有名詞に「女」もしくは「男」を付けただけのタイトルに特異性があるかといえば、否と言わざるを得ない。だから、フジテレビにパクる意図が仮にあったとしても、「パクリ」という批判はあまり当たらない。むしろフジテレビの失敗は、自らハードルを上げてしまったことにある。視聴者はどうしても、『科捜研の女』と比較してしまうからだ。そして、いまだに高視聴率を誇るテレビ朝日の長寿ドラマ『科捜研の女』に、たかだか1クールしか放送されない『科捜研の男』が勝てる見込みは限りなく低い。フジテレビは最初から負け戦を挑んでしまったようなものだ。

 前置きが長くなってしまったので、初回の内容について触れよう。一言で言うと、初回からいきなり視聴者を振るい落としてきたな、と感じた。題材がバラバラ殺人事件だっただけでなく、その背景として被害者がDVを受けていたことが描かれ、吹越満演じる父親が妻と娘に煮えたぎるシチューを掛ける場面など、目を背けたくなる描写が多かったからだ。

 途中で、もしかして『アンナチュラル』(TBS系)みたいなことがやりたかったんだろうかとも思った。『アンナチュラル』も、一見するとグロかったからだ。インターネット上の書き込みを見ると、同様に感じた視聴者も多かったようだ。ただ、同作はグロそうで実際はそうでもなく、泣ける要素や考えさせる余韻があった。ところが、『科捜研の男』は泣けるわけでも感動できるわけでもなく、ひたすら暗い気持ちになっただけ。これを好んで見たいかと聞かれたら、まったくそうは思わない。肝心の科学捜査も、血痕を調べるルミノール反応一本槍で、「科捜研の元研究員の原作をドラマ化した」という触れ込みの割にはつまらなかった印象だ。

 錦戸演じる主役の真野がまったく目立たないうえに、キャラクターとして魅力的でないのもかなり厳しい。新木演じる新人・沢口の成長と、押しの強い刑事・虎丸の奮闘ばかりが目立ち、真野はあまり表情を変えずにぼそぼそしゃべるだけ。どうやら「気持ち悪い」と吐き捨てるのが真野の決め台詞になっているらしいが、どちらかといえばそんなことを言う真野本人が気持ち悪い。

 真野に凄惨な過去があり、どうやら警察上層部にその黒幕がいるらしいという設定も、「またそれかよ」という気持ちになってしまう。そのパターンは、2018年7月期の月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』でもやったばかりである。まあ、警察ドラマなんてテンプレ展開の見本みたいなものだから、百歩譲って良しとしたとしても、ドラマタイトルのせいもあって「何から何まで二番煎じかよ」という印象を視聴者に与えてしまったのは否めない。とはいえ、ドラマ自体が魅力的であれば視聴者の支持は得られるはず。主要キャラ3人の息が合ってくれば、楽しい作品になる可能性は大いにある。2話以降に期待したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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