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ツタヤ図書館建設でCCCと和歌山市に癒着疑惑浮上…コンペ前から内定で計画進行か

文=日向咲嗣/ジャーナリスト
ツタヤ図書館建設でCCCと和歌山市に癒着疑惑浮上…コンペ前から内定で計画進行かの画像1南海・和歌山市駅(「Wikipedia」より」)

1月15日付当サイト記事『ツタヤ図書館が目玉の和歌山市駅前再開発、94億円の税金投入…疑惑浮上』において、総額123億円に上る南海電鉄和歌山市駅前再開発にからむツタヤ図書館建設計画の疑惑をレポートした。

 いったい誰が、こんなに巨額の補助金が出る開発計画の絵を描いたのだろうか。

 実は、2014年に和歌山市の都市計画案を作成したのは、ツタヤ図書館の運営者であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と関係が深い、建設コンサルタントのアール・アイ・エー(RIA)である。

 RIAは、CCCのフラッグシップともいえる「代官山蔦屋書店」と、その周辺の「代官山T-SITE」の設計を手掛けたほか、CCCが運営する神奈川・海老名市立中央図書館の大規模改修や、宮城・多賀城市立図書館の新築設計も手掛けている。

 前出の都市計画案については、国土交通省の外郭団体である全国市街地再開発協会が受託しているが、下請として実務を担当したのがRIAだった。

 驚くべきことに同社は、市の計画実務を作成する一方で、同じ14年に南海電鉄のコンサルティングも担当していたことがわかった。名目は「プロジェクトの調整支援」(南海電鉄・施設部)だという。

事業者選定の不可解なプロセス

 前回記事で指摘した、巨額補助金を利用して和歌山市の再開発を実現させた“不可解なスキーム”の3つのポイントに続く4番目のポイントは、100億円近い公金を投入するにもかかわらず、事業者選定プロセスが恐ろしく不透明なことである。

 尾花正啓市長が当選した14年8月以降、市駅前再開発事業がトントン拍子で進み、資金計画から始まって基本設計、実施設計、施工監理まで、ほぼすべての設計関連業務を独占的に獲得したのがRIAだった。

 どのようなプロセスを経てRIAが設計業務者に選定されたのかを問い合わせても、南海電鉄も和歌山市も、情報開示を頑なに拒否している。

 17年12月にCCCが指定管理者に決定されるより3年も前に、RIAをはじめ南海電鉄など和歌山市の都市計画の関係者たちの間では、すでに再開発の目玉として「年間100万人来館のツタヤ図書館を誘致する」との青写真が描かれていたとみられる。ちなみに、実際のツタヤ図書館来館者は100万人に到達していない。公表されている数値も、カフェや書店併設を“もの珍しさ”で訪れた人が多く、純粋な図書館利用者数とはほど遠いだろう。

 計画の不自然さが表面化したのは、前回記事でも紹介した、14年11月13日の和歌山市から佐賀県武雄市への合同視察である。

 武雄市で13年に開業した“元祖ツタヤ図書館”に、和歌山市から官民合同の視察団が大挙して訪れた。15名の視察団は、市と県の行政側だけで7名に上り、そのなかには国交省出身のキャリア官僚もいた。午前中に武雄市を視察した後に視察団が向かったのは、熊本市だった。

 熊本市内にある“くまもと森都心”はRIAが手がけている。実際に視察団がくまもと森都心に向かった詳細な動向は確認できていないが、熊本市への視察でRIAの担当者からくまもと森都心について詳細な説明を受けたことが18年12月の議会でも確認されている。

 地方議員の視察ならば特段の問題はないが、ほぼ全員が実務者である市と県の職員に加えて、プロジェクトの幹事社である民間事業者も連れ立った総勢15名の合同視察となると、なんらかの決定事項を背景としたセレモニーではないかとの疑いが浮かんでくる。

 事実、それから3年後の17年11月24日、和歌山市は、駅前に建設予定の新図書館の指定管理者にCCCを選定。翌月の議会で、19年秋にオープンする新図書館が、全国で6番めのツタヤ図書館になることが正式決定した。

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