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『アタル』高い前評判→大コケ寸前の“当然の理由”…脚本はワンパターンの失敗作の典型

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 杉咲花が主演を務める連続ドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)の第3話が1月31日に放送され、平均視聴率は前回より0.9ポイント減の10.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。第1話は12.1%を記録したが、2話連続で下落した。

 このドラマは、あらゆるものが見える能力を持つ派遣社員・的場中(まとば あたる/杉咲花)が、その能力を駆使して周りの正社員たちが抱える悩みを解決していくお仕事コメディードラマ。『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』(ともに日本テレビ系)などを手掛けた人気脚本家・遊川和彦が脚本と演出を担当する。

 第3話は、志尊淳演じる品川一真をクローズアップした。品川は入社1年目の新人だが、中堅社員の上野誠治(小澤征悦)からパワハラまがいの扱いを受け、常に転職のことばかり考えている。そんななか、イベントの提案書を制作することになった品川は、過去の例を継ぎはぎして丸写ししたようなものを提出してしまい、上野にこっぴどく批判される。我慢の限界がきた品川は黙って会社を去り、退職する旨をメールで伝えた――という展開だった。

 この後はお決まりの展開。品川はアタルから「占い」と称するお説教をガツンとくらい、そのおかげで「今の仕事をがんばろう」と考え直す。めでたしめでたし。

 決まったパターンをきっちり守る展開はもはや水戸黄門レベル。アタルに占ってもらう人は毎回変わるが、その前後の流れは一切変わらない。もちろん、パターン化が悪いというつもりはない。人気がある長寿ドラマのほとんどは、一話完結のワンパターンな内容だ。だから、『ハケン占い師アタル』もその意味では何も間違っていない。

 ただ、そのパターンに無理があるのは良くない。今回で言えば、品川はアタルの不思議な能力のことなど知る由もなく、当然占ってもらうつもりなどまったくなかった。だが、神田和実(志田未来)や目黒円(間宮祥太朗)が強引に「占ってもらえばいい」と勧め、あまり乗り気でなかったにもかかわらず結局占ってもらうという展開になっていた。

「もう占いはやらない」と毎回宣言する割に、しつこく頼まれたわけでもないのに結局あっさり占いをするアタルもなんだか不自然だ。悩みに悩んで、どこかに救いを求めている人をアタルが見るに見かねて助けるのならわかる。だが今回は、品川が占いに助けを求めた理由も、アタルが当初は拒否しながらもそれに応じた理由もなんだかよくわからなかった。これでは、とりあえず毎回のパターンだからと強引に占いのシーンに持っていったようにしか見えない。もう少し、個々の登場人物が「占いにすがろう」「アタルに占ってもらおう」と思うきっかけや過程を描くようにすれば、パターンのなかにも変化が生まれてもっと楽しいドラマになるのではないだろうか。

 謎めいているアタルの過去については、わずかに進展があった。語り手として登場する謎の占い師・キズナ(若村麻由美)はやはりアタルの母親であり、アタルの居場所を探していることが明らかになったのだ。そろいの白い服に身を包んだ付き人らしき女性2名も登場したが、そのいでたちは何かの新興宗教の信者のようだった。

 視聴者からは、「キズナは自分に不思議な能力がないことを隠して何かの教祖に収まっているのでは」「アタルを探し出してその能力を利用しようとしているに違いない」といった考察がなされている。アタル自身、母親や自身の過去について絶対に話さないことから、キズナとの間に何らかの確執があることは間違いなさそうだ。遊川作品には、『家政婦のミタ』や『○○妻』(ともに日本テレビ系)のように、主人公が凄惨な過去を抱えているという設定のドラマが複数あることから、今作でも終盤に衝撃的な展開があるのでは、と予想するドラマファンも少なくない。ひねりのないワンパターン展開を繰り返すのは、怒涛の展開を控えた「嵐の前の静けさ」なのだろうか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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