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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

来月から年に5日有休取得させないと企業側に懲役刑も…法律で残業上限は月45時間に

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト
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来月から年に5日有休取得させないと企業側に懲役刑も…法律で残業上限は月45時間にの画像1「gettyimages」より

 平成最後の4月がやってくる。新年度スタートのこの時期、毎年さまざまな新制度が導入されるが、2019年4月1日からのトピックは「働き方改革」だ。この関連法が順次施行されることになっている。なかでも、時間外労働の上限が原則月45時間、年360時間になるとの報道をよく耳にするが、1日あたりにならすと2時間程度。これでは残業代がカットされて減収になるという人もいそうだ。

 それだけではない。事業主が労働者に有給休暇を取得させることも義務化された。10日以上の年次有給休暇を与えられる労働者(管理監督者を含む)に対し、企業は年5日、時季を指定して与えなければならないとした。これは事業規模を問わず、もれなく4月から施行となる。

 労働基準法においては、使用者は労働者が雇い入れの日から6カ月間継続勤務し、その6カ月間の全労働日の8割以上を出勤した場合には、原則として10日の年次有給休暇を与えなければならない。つまり、6カ月以上働いていれば今回の「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象になるわけだ(パートタイムに関しては有休は所定労働日数に応じて比例付与され、6カ月までの勤務では有休日数が10日に達せず、対象にならない)。

 なお、もちろん有給休暇は労働者が請求する時季に与えることとされており、働く人が具体的な月日を指定した場合には、原則その日に与えることになっている。使用者が意思確認もせず一方的に「君は○月○日に有休取ってね」と決めていいわけではないので、そこは安心していい。また、すでに5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者が取得の指定をする必要はなく、また、することもできない。

有給休暇取得は違反すれば企業側に罰則も

 企業が働く人に有給休暇を取らせることは努力義務ではなく、守らなければ罰則がある。年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合は30万円以下の罰金、労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金と、かなり厳しい。会社側も、うっかり忘れてましたとは言い抜けられない。年間で5日と決まっているので、社員全員の有休消化ペースを年間通じてきちんと管理しておかないと、年度末のクソ忙しいときにまとめて休め、と会社から言われかねない。考えてみるとゾッとする話だ。

 厚生労働省は職場ごとに「年次有給休暇取得計画表」をつくり、Aさんはあと何日休めば達成、Bさんはまだ1日も休んでないので急いで取ってもらうようになど、こまめに管理してくださいね、とアドバイスしている。企業側も大変なのである。

 なお、厚労省のQ&Aには、「使用者が(有給休暇の取得の)時季指定をしたにもかかわらず、労働者がこれに従わず、自らの判断で出勤し、使用者がその労働を受領した場合には、年次有給休暇を取得したことにならないため、法違反を問われることになります」とある。会社が休めと言ったのに、その日に出てきて働くのはNGだそうだ。

 筆者も会社員時代、年20日程度の有給休暇が与えられていたが、休んだのは夏季休暇を含めて5、6日程度だった気がする。周囲も休日出勤した分の代休を消化するほうが先決で、有休をずいぶん残していた同僚も多かった。

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
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