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日立製作所、容赦ない主要子会社売却で製造業切り離し…果敢な巨額買収でソフト企業へ変貌

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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日立製作所、容赦ない主要子会社売却で製造業切り離し…果敢な巨額買収でソフト企業へ変貌の画像1日立の看板(「Wikipedia」より/Gnsin)

 日立製作所(日立)が構造改革を積極的に進めている。同社は、かつての重電などを中心とする重厚長大型の事業組織から、最先端のテクノロジーを駆使し、新しい発想やモノの創出を目指すソフトウェア関連企業に生まれ変わることを模索している。

 日立が目指していることは、これまでにはなかった人々の動くライン(動線)を生み出すことだ。それは、人々の“生き方=文化”を生み出そうとする取り組みにほかならない。そのために日立はデータの収集・分析体制を整備し、コンサルティングなどに不可欠なソフトウェアの創出力を高めたい。

 この考えに基づいて、日立は大規模に「選択と集中」に取り組んできた。主要な子会社を売却し、ソフトウェア関連の競争力向上に必要な資産を取得している。その取り組みには、常識にとらわれず、柔軟に変化に対応し、新しい発想の創出を目指す経営者の考えがある。

 現在の日立を、製造業に分類し、モノづくりが根幹にある企業として議論することは適切ではない。日立はデジタル・テクノロジーを駆使し、社会全体のイノベーションを進める役割を発揮しようとしている。同社の経営陣がどのように意思決定を下し、戦略が執行されていくか、興味は尽きない。

事業分野の選択と集中

 
 日立は、大規模かつこれまでに例を見ないスピードで、事業ポートフォリオの選択と集中を進めている。その目的は、ソフトウェアを創出する企業を目指し、成長の持続力を高めることだ。それは、同社の買収と事業売却のヒストリーを見るとよくわかる。

 2018年12月に日立は、スイスの重電大手ABBからパワーグリッド(送配電ネットワーク)事業を買収した。電力は、あらゆる経済活動に不可欠なエネルギーだ。送電データを分析することによって、日立は各国の個人や企業の活動に関する膨大なデータを手に入れることができる。データを分析することで、従来以上に効率的な送配電のシステムを開発・運営するなど、需要の創出が期待される。

 買収額は7000億円とかなりの規模だ。一方、送電事業の収益の安定性に加え、ABBのパワーグリッド事業はシステム面にも優位性を持っている。収益と、経営戦略の両面において、日立にとってABBのパワーグリッド事業買収は重要かつ“良い買い物”だ。

 4月24日に発表された米JRオートメーションの買収にも、ソフトウェアに関する競争力を高めたいという日立の狙いがある。JRオートメーションは、自動車、航空機、物流、医療と幅広い分野でのロボットソリューションを提供し、顧客からの評価も高い。

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