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死者や搬送される職人続出…東京五輪、建設現場が「極めて危険な状態」、組織委に改善要求

構成=長井雄一朗/ライター
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建設工事が進む新国立競技場(写真:AP/アフロ)

 開催まで1年を切った東京オリンピック・パラリンピック。現在、関連施設の建設が進んでいるが、現場の労働環境が「極めて危険な状況」にあると指摘されている。5月、約130カ国・地域の約335の労働組合が加盟する国際建設林業労働組合連盟(BWI)が、大会組織委員会や東京都、日本スポーツ振興センターに危険な現場や過重労働の実態を指摘する報告書を送り、改善を求めた。

 東京五輪関連施設をめぐっては、新国立競技場の建設工事に従事していた建設会社の男性社員が2017年に「極度の長時間労働」による精神疾患で自殺した件を含め、すでに2件の労働災害死亡事故が起きている。

 2月には、BWIに加盟する建設職人の労組である全国建設労働組合総連合(全建総連)が新国立競技場や選手村などの建設現場で働く労働者40人から聞き取り調査やアンケートを行ったが、そこでも危険作業が横行する実態などが明らかになった。五輪特需に沸く一方で危機が進行する建設業界の労働現場について、全建総連書記次長の奈良統一氏に聞いた。

「命がいくつあっても足りない」

――東京五輪関連施設の現場はどのような状況ですか。

奈良統一氏(以下、奈良) 工期が迫ってきているため、現場はかなり急かされている状況です。なかには、吊り上げられたコンクリートパネルの下で作業する現場もあるようですが、本来はあってはならないことです。何かの拍子にコンクリートパネルが落下すれば、作業員が死亡する可能性もあります。聞き取り調査では、「現場が狭くて資材を置く場所がない」「工期が短いため危険作業が横行している」などの声が寄せられました。

 選手村の建設現場で働いていた男性からは「誤った作業手順が進められ極めて危険で、命がいくつあっても足りない」との話もありました。選手村の現場は大手ゼネコンが施工していますが、大手でもこの惨状ですから、準大手、中堅、中小の建設会社が施工する現場は、さらにひどいのではないかと危惧されます。

――危険作業には、ほかにどのようなケースがあるのでしょうか。

奈良 本来はしっかりと工程が組まれ、足場や仮設施設を設置した後で作業するのですが、その足場などを撤去してから建築金物の取り付けを余儀なくされたケースもあります。足場がないので脚立で登ったり窓から身を乗り出したりして作業することになりますが、これらは違法になります。すべての現場で危険作業が横行しているわけではないと思いますが、なかには建設職人の安全が守られていない現場もあるのが実情です。

――工期自体に無理があったのでしょうか。

奈良 特に最終工程を迎えている現場では、危険作業が行われているケースもあるようです。たとえば、新国立競技場のように設計変更があったために起工が遅れるケースもあります。また、現場で労災事故が発生すれば、原因究明のために工程を止め、結果的に工期が遅れるケースもあります。大手ゼネコンは新工法の導入などで工程の合理化に成功していますが、最終仕上げの段階で整合性が取れなくなり、逆に遅れてしまうケースもあるのかもしれません。

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