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工藤貴宏「幸せになるためのクルマ選び」

東京モーターショー、凋落が鮮明だが…規模は中国ショーの4分の1、海外メーカーが続々撤退

文=工藤貴宏/モータージャーナリスト
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東京モーターショー2019の様子

 お台場周辺で開催中の東京モーターショー2019。同ショーは、かつては大盛況だったが、昨今は凋落が叫ばれている。

 モーターショーの盛り上がりの目安は「来場者数」と「出展自動車メーカーのラインナップ」となるが、来場者数はバブル経済の最後のタイミングとなる1991年に201万8500人を動員したのをピークに減少し、リーマン・ショック直後の61万4400人という最低記録(商用車開催時を除く)からは上昇に転じたものの、それでも前々回となる2015年は81万2500人、前回の17年は77万1200人と、かつての勢いはない。

 出展自動車メーカーも、リーマン・ショックをきっかけに海外勢が続々と撤退。今年の海外ブランドの参加は「メルセデス・ベンツ」とその傘下の「スマート」、そして日産自動車とアライアンスを組んでいる「ルノー」とそのスポーツカーブランドの「アルピーヌ」、そしてBMWをベースにした高性能モデルを製造している玄人向けメーカーの「アルピナ」のみ。日本においてもメジャーな輸入車メーカーである「フォルクスワーゲン」や「BMW」、そして「ポルシェ」は前回は参加したものの、今回は出展見送りとなってしまった。

 東京モーターショーはかつて「世界5大モーターショーのひとつ」といわれ、欧米のメーカーがこぞって参加。自動車のトレンドを世界へ発信する場所として重要な地位があった。メルセデス・ベンツが最高級モデルの「マイバッハ」を、「ブガッティ」が販売価格2億円近い少量生産のスーパーカー「ヴェイロン」の市販版を、世界で初めて発表する場所として選んだ“光り輝いていた東京モーターショー”は過去のものとなったのだ。

“モーターショー離れ”は東京だけじゃない

 しかし、その状況が東京に限ったことかといえば、決してそうではない。先月、日本と同じく自動車産業が国の基幹産業となっているドイツのフランクフルトで、かつては世界最大の規模ともいわれた「フランクフルトモーターショー(IAA)」が開催されたが、来場者数は前回を3割以上も下回る56万人だった。前回の東京モーターショーよりも少ない。

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フランクフルトモーターショーの様子

 また、ドイツ国外の出展メーカーは激減し、日本からの参加はなんとホンダのみ。ドイツが誇るBMWやアウディなども、今年は出展規模が大幅に縮小していた。大盛況を誇ったフランクフルトモーターショーも、状況は厳しいのだ。

 さらにいうと、昨年10月にフランスで開催された「パリモーターショー」も同様だったし、自動車大国アメリカが誇る「デトロイトモーターショー」も今年1月の開催でいったん幕を閉じ、来年からは音楽イベントなどを組み合わせた、まったく違うイベントとして新しく生まれ変わるという。

 いずれも「世界5大モーターショー」に数えられるイベントであるが、苦しんでいるのである。

なぜ先進国でモーターショー離れ?

 先進国においてモーターショーの勢いが衰えた理由はいくつか考えられるが、まず考えられるのは「クルマ離れ」だろう。東京モーターショーの来場者が多かった頃は日本でも人々のクルマ熱が高かった。しかし、今ではそこまでクルマが盛り上がっていないのは、程度の差こそあれ多くの先進国に共通することだ。

工藤貴宏/モータージャーナリスト

工藤貴宏/モータージャーナリスト

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆中。心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。
執筆媒体はモーターファン別冊新車速報シリーズ(使い勝手チェック及びバイヤーズガイド担当)、ガルヴィ(新車紹介記事担当)、カーグッズマガジン、RESPONSE、&GP、goo-net.com、gazoo.com、くるまのニュース、clicccarなど。国産車を中心に新車から中古車まで幅広く原稿を手掛ける。
本当はスポーツカーが好きだけど、ミニバンや軽自動車も得意。
現在の愛車は10年乗ったポルシェ・ボクスターSから乗り換えたルノー・ルーテシアR.S.とマツダ・プレマシー。

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