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渋谷区、ハロウィーン対策のため税金から「1億円投入」の正当性…区外者の迷惑行為のために

文=深笛義也/ライター
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2018年渋谷ハロウィン(写真:アフロ)

 昨年、渋谷で行われたハロウィーンでは、軽トラックが横転させられ、痴漢や盗撮、暴行、窃盗などが起こり、23人が逮捕、10人が書類送検されるという大荒れとなった。ハロウィーンの時期には渋谷に近づくまいと、カレンダーを確かめている人々は少なくない。

 そんなハロウィーン対策として渋谷区は今年、約1億300万円の予算を計上した。インターネット上には、「1億円もの金、他に使い道があるんじゃないのか」「大規模な水害の発生で、天皇即位のパレードでさえ延期されているのに、ハロウィーンなんかやってる場合か」「必要な金は参加する奴から徴収しろよ」などという疑問の声が散見される。

 渋谷区によるとハロウィーン対策費として約1億300万円が本年度一般会計補正予算に計上されたのは、9月の区議会中間本会議。内訳は、警備体制関連に約9000万円、駅周辺でのマナー啓発フラッグ関連に約500万円、仮設トイレ関連に約700万円となっている。警察の警備に加えて、100人超の警備員を配置することにしたのだ。渋谷区職員から募った有志で、路上飲酒している人などに注意することも決められた。

 マナー啓発フラッグは、公園通りに237枚、センター街に144枚、道玄坂に142枚、掲げられた。「SHIBUYA PRIDE(渋谷プライド)」「ハロウィーンを渋谷の誇りに」のキャッチコピーは、きゃりーぱみゅぱみゅ、野宮真貴、小宮山雄飛、Zeebra、Kダブシャイン、EXILE USA、EXILE TETSUYA、私立恵比寿中学、小林直己、夏木マリらの直筆によるものだ。

「データなどを算出しても、集まってくる人の中に渋谷区民はほとんどいない。本来は区民のために使う税金。本音としてはこんなお金を使わずマナー、モラルの下に楽しんでもらいたい」

 ハロウィーン対策費の説明のための長谷部健区長の会見では、そんな苦渋の言葉もにじんでいた。ハロウィーンイベントを代々木公園で開くという案も検討された。だが渋谷駅から代々木公園への動線をつくるのが難しい上、11月2~3日に約80万人が参加する「渋谷区民祭り・ふるさと渋谷フェスティバル」の開催のため代々木公園にはすでにテントなどが設営されていることから、この案は却下された。    

「受容の限界を超えた人々が密集」

 ハロウィーンの期間に主に参加者が集まる渋谷駅周辺での、道路、公園、広場での飲酒を禁じるなどを定めた「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」は、6月の渋谷区議会定例会に提出された。6月6日の区議会で、自民党の中村豪志議員が条例について質問している。

「例えば、昨年10月末のハロウィーンのときの状況を踏まえた年末のカウントダウンでは、人が集まるエリアと移動する方々のエリアを明確に区切ることで、ハロウィーンのときのようなことは起こりませんでした。今回の条例が制定された後、経過を見て、実効性がないようであれば、条例改正も含め実効性を伴うものとしていかなければならないと思います。今回の条例案を提案される目的効果、そして善後策について、区長の見解を伺います」

 長谷部区長は以下のように答えている。

「本条例案につきましては、本年2月に立ち上げた渋谷ハロウィーン対策検討会から提出された中間報告を踏まえ、区のハロウィーン等を対象とした条例案を策定し、上程したところであります。昨年の自動車が横転させられた事案等を踏まえ、受容の限界を超えた人々が密集する状況で発生した、犯罪行為や迷惑行為を未然に防止する必要が生じた背景から、渋谷駅周辺地域における区民、事業者及び来街者の安全・安心を確保して、マナーの向上及び迷惑行為の防止を推進することにより、渋谷区が成熟した国際都市へと進化していくことを目的としたものであります。

 本条例の効果については、ハロウィーンや年末カウントダウン等の、人々が密集するエリアにおける路上等での飲酒行為が、様々な犯罪行為や迷惑行為を引き起こし、区民等に大きな不安感を与える要因となっていることから、罰則規定はないものの、公共の場所における飲酒制限を広く、来街者等のモラルに訴え、ルールやマナーの遵守につなげていくことにより条例の実効性を確保し、渋谷駅周辺地域の平穏と来街者等の安全・安心の確保に寄与していきたいと考えています」

 条例は議決され、6月20日に施行された。冒頭にその趣旨が書かれている。

「渋谷区は、『ダイバーシティとインクルージョン』という理念の下、渋谷区に集まる全ての人の力をまちづくりの原動力にしている。多様な人々で満たされ、その中にも人と人とのつながりが強固にある、末永く世界に愛される魅力的な都市を渋谷区は目指している。

 しかし、国内外を問わず様々な地域から多くの人々が集まる渋谷駅周辺地域において、特にハロウィーン、年末カウントダウン等の特定の期間にあっては、一部の来街者のマナーに欠ける行為及び迷惑行為によって、街の安全で快適な秩序が脅かされる事態が発生している。

 そこで、区、区民、事業者及び来街者が、渋谷を愛する気持ちを共有し、街を楽しむ気持ちを互いに尊重するために必要なルールを定めることによって、区民、事業者及び来街者の安全及び安心を確保し、渋谷区が成熟した魅力ある国際都市へと進化していくために、ここに条例を制定する」

 12月31日から1月1日にかけてのカウントダウンにも、この条例は適用されるのだ。渋谷駅周辺の当該区域で禁止されるのは公共の場での飲酒のほか、大音量でスピーカーを鳴らすこと、街路灯や標識、屋根に登ること、放尿などである。当該区域での酒の販売については、事業者に自粛への協力を求めているのみだが、コンビニエンスストアや大手ディスカウントストアなどがこれに応じた。

 約1億300万円はハロウィーンを行うために使われるのではなく、ハロウィーンによる被害から区民を守るために使われるわけなのだ。参加者はマナーを守って楽しんでもらいたいものである。

(文=深笛義也/ライター)

深笛義也/ライター

深笛義也/ライター

1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。10代後半から20代後半まで、現地に居住するなどして、成田空港反対闘争を支援。30代からライターになる。ノンフィクションも多数執筆している。

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