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いきなりステーキ、赤字転落で一斉大量閉店…価格乱高下で客が“得体の知れない不安”

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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いきなり!ステーキの店舗(撮影=編集部)

いきなり!ステーキ」などを展開するペッパーフードサービスは11月14日、2019年12月期通期の連結業績予想の下方修正を発表した。本業のもうけを示す営業利益は、従来計画では20億円の黒字を見込んでいたが、7億3100万円の赤字(前期は38億円の黒字)に修正した。「いきなり!ステーキ」の不振が響いた。これを踏まえ、「いきなり!ステーキ」全店の1割弱にあたる44店を閉鎖する。

 最終損益は従来計画では15億円の黒字を見込んでいたが、25億円の赤字(前期は1億2100万円の赤字)に修正した。閉鎖する44店や収益性が低下した店舗にかかわる減損損失を16億円計上する。売上高は従来計画から98億円少ない665億円(前期比5%増)に引き下げた。

 期末配当の「無配」も発表。中間配当と合わせて年間配当は前期比15円減の15円となる。

「いきなり!ステーキ」の不振は深刻だ。10月の既存店売上高は前年同月比41.4%減と大幅減となった。ここ数カ月は特に深刻で、9月が33.6%減、8月が35.2%減と3カ月連続で3割超の大幅マイナスとなっている。前年割れは昨年4月から今年10月まで19カ月連続と長期にわたっている。しかも、さらに悪いことにマイナス幅は拡大傾向にある。

 ペッパーフードサービスは不振の理由として「自社ブランド同士の競合」を挙げた。大量出店を進めた結果、10月末時点で全国に487店を展開するまでになったが、こうした急拡大のなかで自社の店舗同士で顧客の奪い合うケースが増えていった。

 たとえば、今秋に閉店した「いきなりステーキ難波府立体育館前店」(大阪市)は、徒歩約10分のところに「いきなりステーキ法善寺店」(同)があり、今夏に閉店した「いきなりステーキ郡山新さくら通り店」(福島県郡山市)はクルマで約10分のところに「いきなりステーキ郡山栄町店」(同)がある。どちらのケースも自社の店舗同士で商圏が重なっており、顧客の奪い合いが起きていたと考えられる。閉店に追い込まれたのはこのことが大きかっただろう。

「いきなり!ステーキ」は、ブームを巻き起こして急拡大した。特に18年は店舗数(国内)が大きく増えており、1年間で200店も増え386店に拡大している。こうした大量出店のなかで出店基準が甘くなっていた感が否めない。そのことを示すかのように18年は自社店舗間が近接したかたちでの出店が多く見受けられた。前記の郡山新さくら通り店と郡山栄町店はともに18年の出店だ。

値上げを繰り返して競争力低下

 こうした自社競合が一因で業績が悪化したとしているが、自社競合は副次的な要因にすぎない。

 これはコンビニエンスストアの出店のあり方を考えればわかる。コンビニは地域を絞って集中的に出店する「ドミナント出店」によって成長を果たしてきた。コンビニがドミナント出店をするのは、認知度が高まりやすいほか、配送効率が上がるといったメリットがあるためだ。一方で、もちろん自社競合が起きやすいというデメリットもある。ただ、十分な需要があれば、メリットのほうが大きい。そのため、コンビニは自社競合を厭わずにドミナント出店を行い、競争力を高めることに成功し、大きな成長を果たすことができたというわけだ。

 これは「いきなり!ステーキ」にも、ある程度あてはまる。店に競争力があれば、自社競合はそれほど大きな問題にはならない。では何が大きな問題になっているのか。特に大きいのが、「価格設定」だろう。「いきなり!ステーキ」は価格設定において2つの問題を抱えており、それにより競争力が下がったと考えられる。では、その2つの問題とは何か。

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