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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

米国と北朝鮮、年明けに軍事衝突の可能性高まる…北、日本へのミサイル攻撃も現実味

文=相馬勝/ジャーナリスト
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北朝鮮・金正恩氏 白頭山登頂(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

 今月3~4日の2日間で、朝鮮半島情勢が大きく動いている。北朝鮮が米国との非核化交渉の期限を年末に定めた、いわゆる「年末期限」をめぐって、米朝両国間の深刻な対立が露呈しており、年明けには軍事衝突の可能性が再び高まってきているようだ。

 発端は北朝鮮外務省のリ・テソン外務次官(米国担当)が発表した不遜な談話だ。リ氏は3日、談話を発表し、「年末の期限が近づいていることを米国に再び想起させたい」と述べるとともに、「今残っているのは米国の選択であり、近づいているクリスマスのプレゼントに何を選ぶかは全面的に米国の決心にかかっている」と強調した。

 同日、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議出席のためロンドンに滞在していた米国のトランプ大統領はストルテンベルグNATO事務総長との会見で、金正恩朝鮮労働党委員長について「彼はロケット飛ばすのがとても好きだ。だから彼をロケットマンと呼んでいる」と語り、2年ぶりに「ロケットマン」との表現を使い、今年に入ってロケット砲や弾道ミサイルなどの発射実験を繰り返す金氏を皮肉った。

 トランプ氏は2017年秋に金氏をロケットマンと呼んで挑発し、軍事行動を辞さない構えで非核化を迫ったが、その後の3回の首脳会談開催でこの表現を使わなくなっていた。ここにきて再びトランプ氏がロケットマンと呼んだのは、ミサイル発射実験を繰り返す金氏への不信感の表れとみてとれよう。それを裏付けるように、トランプ氏は北朝鮮との非核化交渉に関連し「米軍を使うことを望んでいない。だが必要になれば使う」と語って、軍事行動の可能性に再び言及している。

 これに対して、北朝鮮側は即座に反応。朴正天朝鮮人民軍総参謀長が談話を発表し、「米大統領が3日、英国で行われたNATO首脳会議期間に、我々に対するくだらない発言をしたということを聞いた」としたうえで、「自国が保有する武力を使用するのは米国だけが持つ特権ではない」とトランプ発言に反発。さらに、朴氏は「米国が武力を使用すれば我々も相応の行動を加える」と発言したのに続き、「武力の使用は米国をぞっとさせることになるはずだ」ともつけ加えた。

 朴氏は北朝鮮軍の序列2位であり、軍高官が談話を発表するのは極めて異例。それだけに、軍が武力行使を真剣に検討していることを内外に鮮明にする狙いがあるとみられる。

北、米国への対抗心を隠さず

 ちなみに、朴氏は「我々の軍最高司令官もこれ(=トランプ大統領の武力への言及)を非常に不快に感じている」とも伝えたが、北朝鮮の軍最高司令官はほかならぬ金氏だ。

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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