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花王の逆襲…「アタックZERO」圧勝で業界一変、アルコール消毒液20倍へ増産可能に

文=編集部
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花王・アタック ZERO(通販サイト「Amazon」より)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日常生活が大きく変化した。マスク、手洗い、うがい、手指のアルコール消毒の4点セットが習慣化した。品薄状態が続いたマスクは最近、路上の出店などで、よく目にするようになった。白一色から、さまざまな色や柄のマスクが百花繚乱。スーパーやドラッグストアだけでなく飲食店や衣料品店でもマスクが並び、価格も急激に下落した。

 そんななか、「みんなで手洗い」を追い風にハンドソープは好調を維持している。ライオンの2020年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高が前年同期比4.6%増の825億円、営業利益は3.1倍の187億円、純利益は3.9倍の135億円だった。本社の土地売却益に加え、ハンドソープ「キレイキレイ」が売れた。

 全社の売上高の7割弱を占める「一般用消費財事業」のうち、ハンドソープやボディーソープを含むビューティケア分野の売上高は77億円。同47.5%増だった。主力の歯ブラシや洗口液などのオーラルケア分野も新製品が好調で、10.5%増の149億円。洗濯用洗剤などのファブリックケア分野は3.5%増の135億円、台所用洗剤などのリビングケア事業は23.5%増の51億円だった。外出自粛の影響で家事をする時間が増え、台所用洗剤や洗濯用洗剤の売り上げが増加したが、ハンドソープの伸びは突出している。

「キレイキレイ」を3割増産

「キレイキレイ」はライオンの大ヒット商品である。1996年、O157が発生し、食中毒の集団感染が大きな社会問題になった。子どもたちをウイルスや菌から守るために「手洗いの習慣化」が徹底され、97年に「キレイキレイ」が誕生した。「バイ菌は怖い」という恐怖訴求型の市場に、「楽しく洗える殺菌ハンドソープ」という独自のポジションを確立。キレイキレイにするという楽しい習慣が子どもたちの間に広がっていった。2000年以降、ハンドソープ市場のNo.1ブランドとなり、ハンドソープの認知度を一気に高めた。

「8月をメドに香川県坂出市の工場に新たな製造ラインを設け、生産能力を従来の1.3倍に増強する」

 コロナ禍の影響で、ほとんどの企業が今期の見通しを「未定」、あるいは減収・減益とするなか、ライオンは20年12月期決算で増収・増益の強気の計画を打ち出している。20年12月期決算の売上高は前期比2.2%増の3550億円、営業利益は3.9%増の310億円、純利益は2.1%増の210億円を見込んでいる。「キレイキレイ」が好決算の先導役を果たす。

化粧品はインバウンド需要が消え失速

 花王の日用品セクターは、ハンドソープをはじめとする「ビオレ」シリーズが好調だった。20年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高は前年同期比2.6%減の3377億円、営業利益は2.8%増の392億円、純利益は0.9%増の266億円。

 売上高の8割強を占めるコンシューマープロダクツ事業のうち、スキンケア・ヘアケア事業の売上は741億円と8.1%減った。「ビオレ」のハンドソープや手指の消毒液の売り上げは大きく伸びたが、外出制限の影響を受け、UVケア製品の売り上げが減った。欧米では店舗閉鎖を受け、ヘアサロン向けが激減した。

 ベビー用紙おむつ「メリーズ」などヒューマンヘルスケア事業は1.3%増の619億円、食器用洗剤などのファブリック&ホームケア事業は10.0%増の818億円と堅調だった。一方、化粧品事業は12.1%減の592億円、営業利益は1億円(前年同期は62億円)と大きく落ち込んだ。インバウンド需要が消えたほか、百貨店の休業が相次いだことから、口紅など化粧品の売上が急減。全体の2割弱を占める化粧品事業の落ち込みを他の部門で補いきれなかった。

花王はアルコール消毒液の生産能力を20倍に

 花王はアルコール消毒液を和歌山工場で4月下旬から増産体制に入った。昨年同期に比べて20倍以上の生産が可能になる。増産する商品は家庭向けの「ビオレu手指の消毒液」と、業務用の「ハンドスキッシュEX」の2種類だ。化粧品や紙おむつのインバウンド需要は期待できない。消毒液の大増産でインバウンド需要の落ち込みをどの程度カバーできるかが焦点だ。

 20年12月期の連結決算は、売上高が前期比0.5~1.8%増の1兆5100~1兆5300億円、営業利益は3.9~8.6%増の2200~2300億円、純利益は3.9~8.6%増の1540~1610億円を見込んでいる。20年12月期は中期経営計画の最終年度にあたる。売上高営業利益率を15%(19年12月期14.1%)に高めるのが目標だ。1~3月期の売上高営業利益率はコロナの影響で11.6%に低下した。

 19年11月に実用化した人工皮膚技術「ファインファイバー」や、肌の状態を解析する「皮脂RNAモニタリング技術」など新技術を活用した製品で利益率を向上させる。原油価格低下によるコスト削減効果が見込めるほか、経費削減を徹底して15%の売上高営業利益率を確保したいとしている。

花王は新製品「アタックZERO」がヒット

 ハンドソープ市場はライオンの「キレイキレイ」が圧勝。アルコール消毒液は花王の「ビオレ」が強い。衣料用液体洗剤では花王が独走態勢を築きつつある。花王は19年4月、液体用洗剤の新製品「アタックZERO」を発売した。新開発した洗浄基剤「バイオIOS」を使用し、「花王史上、最高の洗浄力」誇る。

 衣料用洗剤市場は三つ巴の激しい争いを繰り広げてきた。「ニュービーズ」の花王、「アリエール」のP&Gがシェア4割近くでトップの座を争ってきた。これに続く「トップ ハレタ」のライオンは2割台だった。

 花王の「アタックZERO」の投入で構図は一変した。19年5月時点のシェアは花王が43.0%と独り勝ち。P&Gは35.8%、ライオンは21.2%とシェアを落とした(ソフトブレーン・フィールド調べ)。

 ライオンは当然巻き返しを狙う。同社初のIoTデバイス「スマートハレタ」を開発した。洗濯用洗剤「トップ ハレタ」のボトルに装着する。自宅周辺の天気予報と連動し、ボトルを持ち上げると「外干し」「部屋干し」のどちらを選ぶかを光や音で知らせてくれる、優れモノだ。

BusinessJournal編集部

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