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バリスタが選ぶ“ペットボトルコーヒー”ベスト5!1位はコンビニで買えるタリーズの味

文=沼澤典史/清談社
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コンビニの売り場に並ぶペットボトルコーヒー

 コロナ禍の2020年、缶コーヒーの売り上げが前年から10%以上も減少した。缶コーヒーは仕事の現場や合間などのビジネスシーンで飲まれることが多く、在宅勤務の増加により需要が激減してしまったようだ。一方で、前年から売り上げを落とさなかったのが、500mlペットボトルに入ったコーヒーだ。

 1Lなど大容量のものや業務用のペットボトルコーヒーは以前からあったが、17年にサントリーがコンビニなどで手軽に買える500mlサイズの「クラフトボス」を発売したことで、一気に人気が高まった。

 それまで缶コーヒーを飲まなかった若年層や女性のニーズを拾ったクラフトボスの販売数量は、17年が2億4000万本、翌年には6億5000万本を突破した。これ以降、飲料各社が次々とペットボトルコーヒーを開発して市場に投入、18年にはコーヒー全体の販売本数でペットボトルが缶を逆転した。

 軽くて大容量、さらにキャップで再栓できる機能性が魅力のペットボトルコーヒー。しかし、肝心なのは味ということで、今回はコンビニでも購入できるペットボトルコーヒーをバリスタとして活躍する柳隆晴氏に飲み比べてもらい、それぞれの特徴をもとにランキングしていただいた。

5位/コカ・コーラ「ジョージア ジャパン クラフトマン ブラック」

 コカ・コーラの老舗コーヒーブランドであるジョージアからラインナップされたペットボトルコーヒー。水出し抽出を行い、すっきりと軽やかな飲み口が特徴だ。

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「水出しコーヒーはカフェインがカットされているので、そのぶん苦味も少なくなります。この商品もほとんど苦味がなく、さらっとした味わいです。ごくごくと飲みやすい仕上がりですが、コーヒーならではのコクやクセを求める人には物足りないかもしれません。香りも立っていますが、香料を使っているので、ちょっと不自然なアロマになっていますね」(柳氏)

4位/サントリー「クラフトボス」

 ペットボトルコーヒーブームのきっかけをつくったクラフトボス。サントリーが理想とする“澄みわたるコク”を実現するために、焙煎・抽出・調合で200以上の工程を踏んでいるという。ブラジル産の最高等級豆をはじめ、5種類のコーヒー豆をブレンドするこだわりようだ。

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「苦味は強くないですが、飲んだ後に舌の奥の方に余韻が残りますね。ややすっきりしたテイストの中に、ほんのりとコクがあります。お店で出すようなコーヒーではなく、従来の缶コーヒーの味の発展形、という感覚です。今まで缶コーヒーを愛飲していた方におすすめですね」(同)

3位/コカ・コーラ「ジョージア ロースタリー ブラック」

 500ml入りで手軽に持ち運べる点が受け入れられたペットボトルコーヒー。ジョージアでは、さらに小さい280mlの商品も開発している。20年10月に発売された「ロースタリー ブラック」は、産地の環境やフェアトレードにこだわるスペシャリティコーヒーの専門店「猿田彦珈琲」の監修のもと、上質な香りと焙煎の味に仕上げたという。

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「口当たりがいい一方で、ローストの豊かな香りと余韻がありますね。ディープロースト(深煎り)ですが、苦味は感じられず、逆にほのかな酸味があります。全体的にクリアな味わいなので、老若男女問わず、誰でも飲みやすいです。ただ、若干香りが立ちすぎているので、自然なアロマにした方がバランスは良かったと思います」(同)

2位/UCC「BLACK COLD BREW」

 1987年、他社に先駆けて缶入りのブラックコーヒーを発売したUCC。ペットボトルコーヒーでも主力はブラックで、コーヒー豆は厳選アラビカ豆を粗挽き、天然水を使用した水出し抽出を行うことで、“澄み切った味わい”を実現している。さらに香料無添加なので、自然な味わいになっているという。

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「飲み口がすごくまろやかで、苦味がまったくないです。香りも自然なので、お店で飲む水出しコーヒーに近い味わいですね。苦味や酸味が少ないので、仕事中にシャキッとしたい人には向かないかもしれませんが、夜に一息つくときにはおすすめです。水出しなのでカフェインも少ないですからね」(同)

1位/伊藤園「TULLY’S COFFEE Smooth BLACK」

 タリーズコーヒージャパンは伊藤園の子会社のため、TULLY’Sブランドの飲料は伊藤園から発売されている。そのTULLY’Sの名前を冠したペットボトルコーヒーは、すっきりした味わいのタリーズクオリティをそのままペットボトル化することにこだわったという。

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「無香料なのに、アロマがすごく良いです。タリーズのコーヒーは国内で焙煎することで鮮度が保たれているため、個人的にはチェーン店の中で一番好きなのですが、ペットボトルでもそのフレッシュな香ばしさがよく出ていると思います。ほのかな苦味もあってバランスが良く、お店のコーヒーにかなり近い本格派ペットボトルコーヒーと言えますね」(同)

 このようなランキングを踏まえて、柳氏は総評を以下のように語る。

「水出し抽出である『BLACK COLD BREW』と『ジョージア ジャパン クラフトマン』は、どちらもすっきりしていて飲みやすいです。水出し以外のコーヒーでは、個人的な好みですが、若干味の輪郭がぼやけているのが『クラフトボス』。コーヒーとして主張が感じられるのが『TULLY’S COFFEE Smooth BLACK』と『ジョージア ロースタリー ブラック』です。また、本当にコーヒーが好きな人は無香料を選んだ方がいいかもしれません」(同)

 今やペットボトルコーヒー乱立時代。シーンや気分によってセレクトしてみるのもいいかもしれない。

清談社

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せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

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