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ユニクロ、中国ウイグル人権問題が経営リスク化…柳井会長の「ノーコメント」が疑念招く

文=編集部
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ユニクロの店舗

 米国税関当局が今年1月、ファーストリテイリング傘下の衣料品大手「ユニクロ」のシャツの輸入を差し止めた。世界中で問題となっている中国新疆ウイグル自治区での強制労働問題が日本企業にも波及。ユニクロは「中国叩きに利用されただけ」(関係者)との同情論も聞かれるが、世界的に人権問題への関心が高まるなか、日本も法整備を含めた対応が急務となっている。

ウイグル産ではない

 強制労働をめぐる輸入禁止措置に違反したとして、米ロサンゼルス港で差し止め措置を受けたシャツの原料は、米国や豪州などで収穫されたコットンだ。それを中国の工場で縫製。ファストリは、少数民族のウイグル族を強制労働させている疑いのある「新疆生産建設兵団」とは直接の取引がないとしている。

 同社は米国当局に対し、強制労働などの人権問題はないと説明を繰り返したが、「最後の最後まで受け入れてもらえなかった」(幹部)という。

 ただ、ファストリ側にも落ち度がある。柳井正会長兼社長は一連のウイグル問題について「ノーコメント」としていたことが、かえって疑念を招いた。やはり、日本を代表する衣料品メーカーのトップとして、人権問題に関して何らかのメッセージを発信すべきだった。

中国政府「でっち上げ」と反発

 一方、フランス検察は人道に対する罪の隠匿疑いで、ユニクロのフランス法人や、ZARAを展開するスペインのアパレル大手「インディテックス」など計4社の捜査を始めた。ウイグル族らを強制労働させて作らせた疑いのある製品を扱っているとして、NGOが4社を告発していた。

 中国外務省は、米当局や仏検察の姿勢に対し、「米国など一部の国によるでっち上げだ。外国勢力が内政干渉することも断固として反対する」と猛反発している。

 一連の動きは、米中の覇権争いでたまたま人権問題がクローズアップされたとの指摘もあるが、こうした見方には疑問の声もある。ユニクロ以外では、良品計画、アシックス、グンゼなど有名な日本企業にもウイグル問題が飛び火。無印良品を運営する良品計画は強制労働といった違反行為がないため、ウイグル産綿の活用を続ける一方、グンゼやミズノは利用をやめる方針を示すなど、企業間で対応が割れている。

人権問題に後手

 フランスなど欧州諸国を中心に、サプライチェーンに強制労働などの人権侵害の有無を企業に確認することを法律で義務付ける動きが広がっている。一方、日本政府は「ビジネスと人権に関する行動計画」をまとめ、企業に対し、人権侵害への対応や予防策を導入するよう「期待」を示した。ただ、法整備の機運は高まっていない。

 日本が受け入れる外国人技能実習生は強制労働ではないかとの疑念が、一部の先進国から向けられている。劣悪な環境でかつ低賃金を強いられ、逃げ出す実習生もいる。人権問題への対応は後手に回っている印象は拭えない。

 世界的に人権問題への取り組みが加速するなか、曖昧な態度はもはや許されない。グローバル展開する企業は生産過程で強制労働が介在している原料を排除するなどの努力は行っているが、国家として人権侵害と闘う覚悟を示さないと、日本の国際競争力はますます低下する。

 企業がサプライチェーンの見直しを行えば、コストが上がり、販売価格が高くなる可能性がある。消費者も人権問題に関心を持ち、強制労働を世界からなくすための値上げを受け入れることも必要になるかもしれない。

 今年開催された東京五輪は、何かと人権問題が注目を集めた。五輪開催を契機として、人権問題への対応に国家レベルで本腰を入れる必要があるのかもしれない。

BusinessJournal編集部

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