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法廷で、殺した男の性癖まで饒舌に暴露

結審で見え透いた涙を見せる木嶋佳苗のしたたかさ

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結審で見え透いた涙を見せる木嶋佳苗のしたたかさの画像1「週刊文春」(文藝春秋/11月12日号)
 男性3人の連続不審死で殺人罪に問われた木嶋佳苗被告の裁判員裁判の審理が3月13日に終わり、結審を迎えた。2009年1月から8月までの間に、婚活サイトを通じて知り合った寺田隆夫さん(当時53歳)、安藤建三さん(当時80歳)、大出嘉之さん(当時41歳)を睡眠薬で服用させ、練炭による一酸化炭素中毒を発生させて殺害した容疑に問われている。裁判員の選定から判決までに約100日に及び、裁判員裁判としてはこれまで最も長い。

 1月10日から始まった計35回の公判の間、検察側から約50人にもなる関係者が証言台に立ち、数多くの証拠書類が提示されてきた。だが、被告人席に座っている木嶋被告は表情、態度を変えることはなかった。被告人席に座っているほとんどの時間、「木嶋佳苗」と書かれたファイリングされた資料を読み込むか、写真などの証拠書類が掲示されるモニターなどをじっと見つめていた。
初公判から裁判を傍聴している記者は話す。

「検察官の厳しい尋問にも殺人容疑を認めませんでした。1週間前に行われた弁護人質問と発言が食い違うなどで厳しい追及にあいましたが、『覚えていません』『答えられません』などを繰り返しながら、うまく追及をかわしました。ですが、裁判官の心証を害するような発言を繰り返しました」。

 特にセックスに対する発言がそうだ。「性の奥義を極めたい」、「一般女性にない、特別な機能を持つ名器であることがわかった」、「SEXにおいて長時間快感を持続させるから、トランス状態に陥って、オーガズムの境地にトリップされていくという世界観を大切にしていました」など、セックスに対して饒舌に語った木嶋被告。

 さらには、死人に口なしを良いことに、「自慰行為のしすぎで勃起しなくなっていた」「風俗に通っていると聞いて結婚相手として考えられなくなった」など、相手の性癖も遠慮なしだった。裁判官への心証などお構いなしと感じるほど、セックス談義を平然と言ってのけたのだ。

 そんな木嶋被告の表情に変化があらわれたのが審理最終日のこと。

 すべての審理の最後に裁判長から証言台に促された木嶋被告は、「最後に裁判所に話しておきたいことはありますか?」との問いに対して、少しの沈黙があったあと、次の言葉を涙声で搾り出した。

「今までの人生を振り返って、自分の価値観や生き方が間違っていたことを気づかされました。男性に対して、数多くのウソをついてきたことに関して深く反省しています。今回の件で学んだことをかみしめて生き直したいと思っています」

 反省の言葉を語った木嶋被告であるが、発言を締めくくる形で、「ただし、私は寺田さん、安藤さん、大出さんを殺害していません」と、男性3人の殺害容疑は完全否定した。

 男性からお金を騙し取り、そのお金でベンツやマンションを購入するなど、月平均150万円に及ぶ”セレブ”な生活は涙ながらに反省したが、殺害に関しては全面的に無罪を主張したのである。あくまで自分の人生に対する反省であり、詐欺を働いた男性たちに対して謝罪の言葉は一つもなかった。

 審理の最後に流した被告人の涙を素直に受け取っていいものだろうか。傍聴席で聞いていて、木嶋被告の最後の言葉を、素直に反省の言葉とは受け取ることができなかった。取調べ時と公判の中での証言が異なっていたり、公判の中でも弁護人と検察官の同じ質問に対してまったく違う証言を。

 むしろ、なんとしても死刑判決だけは逃れたいという裁判員へのアピールのための涙だったのではないか。

 そう思わざるをえない場面が最終日の午前中にあった。

「木嶋被告は、弁護人の最終弁論の冒頭で、ハンカチで目頭を押さえました。これまでの裁判を通して初めて見せる姿でした。涙を誘うような場面ではなく、あまりにも唐突な涙でした。まるで準備していたような印象を持ちましたね」(前出の記者)

 木嶋被告の自白もなければ、目撃証言もなく、直接彼女が殺害したとする証拠はない。検察側は状況証拠を積み重ねることで、木嶋被告の殺害を立証しようとした。しかし、彼女が殺害したとする決定打は欠いたままだ。検察官も、最終弁論の際、遺族が綴った文章を涙ながらに代読し、女性裁判官の涙を誘った。

 審理は終わり、すべては裁判官の手に委ねられた。はたして、男女3人、計6名の裁判員は木嶋被告の涙をどのように感じ取ったのだろうか。判決は4月13 日に言い渡される。
(文=山口安平/ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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