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"幻の馬"ソウタツーー「ニート」の愛娘に10年間で7,000万円つぎ込んだ"奇行馬主"の思惑

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 近年、高齢化社会問題が何かと話題になっているが、我々日本人が世界でも有数の長寿であることは有名な話だ。食生活・栄養状態の改善、医療技術の進歩などさまざまな要因が挙げられるが、高齢化が進んでいるのは何も人間だけではない。競馬を走る競走馬もまた、年々その現役期間が伸びているという。

 今年になって、G1を3勝した名馬ワンダーアキュートが10歳で引退。それも3つ目のG1勝利は昨年に挙げたものだから驚きだ。もちろん9歳のG1制覇は史上初で「元気なお年寄りの活躍」として大きな話題にもなった。プロ野球でいえば、昨年50歳で現役を引退した中日ドラゴンズの山本昌投手のような存在だったといえる。

 そこで現役引退を問わずJRAで高齢まで活躍した競走馬を調べていると、「ソウタツ」という"不思議な戦歴"を持つ馬を発見した。

 競走馬ソウタツ(牝馬)は一昨年2014年に引退しているが、その年齢はなんと14歳。昨年末引退したゴールドシップが6歳だから、その2倍以上の現役生活を送っていたことになる。何より不思議なのは、ソウタツの現役最後のレースが04年7月だったことだ。

 つまりソウタツは引退する14年までの10年以上、まったくレースに出走せずに現役生活を続けていた"幻の馬"ということになるのだ。

 通常、競走馬が1年以上休養する場合の主な理由は、重度の骨折などの故障が挙げられる。しかし、怪我の治療やリハビリに10年以上を費やすなどということは常識では考えられない。それもソウタツは、現役9戦で3着にさえなったことがない未勝利馬。じっくり休めば活躍できるという可能性も、ほとんどなかったといえる。

 ちなみに競走馬を所有するには、相応の経済力も必要となる。JRAの厩舎への預託料は月々50万から60万円といわれ、並みのサラリーマンが所有できるものではない。言い換えれば、所有馬がまったく活躍しなければ、単純に年間700万円程度の出費がかさむということだ。

 つまり、まったく仕事をしていない"ニート"のソウタツのために、馬主は10年で7000万円程度を支払い続けていた計算になる。ずっと休養のため費用は多少抑えられていたかもしれないが、いったいなぜこのような"奇行"に及んだのだろうか。

「明確な答えは定かではないですが、現行の馬主のルールには『1年以上馬を所有しなかった場合は資格を取り消す』というものがあります。逆に言えば1頭でも馬を所有していれば、馬主でい続けられるわけです」(競馬記者)

 確かに『馬主』という社会的ステータスは、とてつもなく大きい。企業名義なら、それだけで宣伝効果が期待できる。特に年間所得額が2年連続で1,700万円以上、資産額が7,500万円以上と厳しい条件が定められているJRAの馬主ともなれば、その効果は絶大だ。

 さらに前出の競馬記者が「大きな声では言えないが、それだけではない」という。

「実は、競走馬の購入費用や維持費等は、広告宣伝費として経費で落とせるらしいです。他にも所有馬が出走さえすれば、その土地に向かう移動費や宿泊費も費用で落とせます。JRAは北は北海道から、南は九州まで競馬場がありますから、まさに"理想的"なのかもしれませんね」

 つまり、馬主になれば広告効果だけでなく、節税効果まで期待できるということだ。まさに馬主だけに許された「上流階級の特権」といえるのかもしれないが、改めて納得である。