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「超変革」が必要なのは阪神タイガースだけではない。金本監督が示した「日本プロ野球の新境地」とは

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「AC photo」より

「勝つ野球。見ていて、楽しい野球をしたい」

「超変革」を掲げ、昨秋から阪神タイガースの新監督に就任した金本知憲が、同時に言い続けていたのが「例え負けても、ファンが納得してくれる野球を続けたい」ということだった。

 例え負けても、ファンが納得してくれる野球を続ける。それを耳にしたのは、もちろん初めてではないにせよ、同時に現代のプロ野球においては"理想論"という印象しか受けない。

 何故なら、今はどの球団もほとんど実現できていないからだ。

 この4年間で6位、5位、5位、6位という成績だった横浜DeNAのアレックス・ラミレス新監督でさえ、就任会見から「優勝」を何度も口にしていたほど、今のプロ野球はとにかく勝利至上主義だ。「優勝以外に意味はない」と口にする選手や関係者も決して珍しくはない。

 ただ、強いて言えば金本監督が就任した阪神はかつて1995年から2001年の7年間で6度の最下位に甘んじた弱小球団だったにも関わらず、その間もファンの数だけは決して衰えなかった特殊な球団だ。

 そんな阪神ならば、もしかしたら金本監督が掲げる「例え負けても、ファンが納得してくれる野球」というものが、実現できるのかもしれない。筆者は金本監督の就任直後、その程度のことしか考えていなかった。

 しかし、現役時代1492試合フルイニング出場の世界記録を樹立した鉄人監督は、そんな"素人考え"を「開幕戦」から吹き飛ばしてくれた。

 まず驚かされたのは、そのオーダーだ。

 1番高山、2番横田、3番ヘイグは、まだペナントレースで1本のヒットも打っていない。最も打順が回って来る上位にそんな3人を据えるという金本監督の"ギャンブル"に、試合前から大きな不安と期待を覚えたのは、私だけではないだろう。

 無論、裏目に出る可能性も大いにあったはずだ。

 ただ、仮に"誰"とは言わないが1番鳥谷、2番西岡、3番福留、4番ゴメスという、いかにも無難な打線を組んだところで一体どのファンが「超変革」を実感し、胸をときめかせるのだろうか。

 監督がギャンブルをするということは、チームそのものがギャンブルをし、そして何より、見ているファンもまたギャンブルをしているような気持ちになるのだから不思議だ。

 そんなチームとファンが一体になった"賭け"は初回から実を結んだ。ルーキーの高山がプロ初打席初安打を記録すると、2番の横田もプロ初盗塁、3番のヘイグがタイムリーで返すと阪神ファンのボルテージは一気に上がった。