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東西の名手「武豊×蛯名正義」が激突!? 競馬雑誌『優駿』のスペシャル対談で垣間見る「絶妙な関係」とは

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yuushun0310.jpg優駿3月号(JRAピーアール・センター)

 競馬雑誌『優駿』が、いつになくファンの間で話題になっている。

『優駿』はJRA(日本中央競馬会)の広報雑誌として、中央競馬ピーアール・センターが発行している「機関誌」。そういった意味では、一般的な競馬雑誌とは一線を画した存在だ。イメージ的には、まさに”コアな競馬ファン向けの内容”だが、JRA機関広報誌として80年近い歴史がある。

 競馬に関する情報もネットで溢れている時代、わざわざ競馬雑誌を買うファンは減少の一途を辿っており『優駿』もまたご多分に漏れず、決して好調とは言えない売れ行きらしい。

 しかし、この『優駿』3月号の[巻頭特別対談]は、なんと武豊×蛯名正義。

「西の帝王・武」と「東の帝王・蛯名」という競馬界を代表するビッグ2が競馬雑誌で”初”のスペシャル対談ともなれば、競馬ファンからすれば垂涎もの。筆者も迷わず購入した。

 JRA通算3800勝に、G1だけでも100勝越え。競馬を知らない人でも名前くらいは知っている競馬界の代名詞・武豊。

 同じくJRA通算2400勝に、牝馬三冠を始め制した重賞数知れず。武と比較すれば数字的には劣るが、2400勝は競馬史の中でも「歴代4位」と紛れもないレジェンド・蛯名正義。

 実はこの二人、1987年にそろってデビューした「同期生」なのだ。つまり今年でデビューから30年、デビュー前や競馬学校時代の付き合いまで含めると、それ以上となる間柄。

 家族以外で”30年以上、毎週のように顔を合わせている人”がいるだろうか。私にはいない。ただ印象的だったのは、雑誌の巻頭グラビアとして武と蛯名が並んだ写真が掲載されているが、二人の間にまったく緊張感が見受けられなかったことだ。

「そりゃ、30年来の付き合いなら仲も良くなるよ」と思われるかもしれないが、この二人は決して”ただの仲良し”ではない。いや、あえて言葉を選ばなければ、単なる友人でもないかもしれない。

 実際に先述したように、雑誌での対談は今回が初めて。ましてや、前回二人で食事をしたのが5年以上も昔である。

 それも日本国内ではなく、遠いフランスでのこと。2010年の凱旋門賞(仏G1)で武はヴィクトワールピサに、蛯名はナカヤマフェスタに騎乗するために、たまたま両者が渡仏し、前日に決起集会のような食事会があったらしいのだ。逆にいえば、そんな”偶然”がなければ、一緒にメシを食う機会すら何年もなかったということだ。

 もちろん、関西の武と関東の蛯名で、普段の主戦場が異なる事情もある。ただ知っての通り、これだけのトップジョッキーになると自然とG1などのビッグレースでの騎乗機会が増え、どちらかといえば同じ場所でしのぎを削っていることの方が多いだろう。

 競馬界の顔役として、いつも話題性あふれるリップサービスに優れ、どちらかといえばお調子者の感さえある武と、どちらかといえば寡黙で真面目一徹という雰囲気のある蛯名。性格は正反対に近いものがある。

 普通に考えれば、あまり仲が良くなくても不思議ではない。

 しかし、この二人の場合、ただの友人や同僚である前に、お互いが目の前の賞金だけでなく、意地やプライド、時には人生に近いものを懸けて戦うライバル。そこには当然、ただの慣れ合いだけでなく、ライバル騎手としての”適度な距離感”がある。

 そして、何よりも互いが共通分野に深く精通するからこそ生まれる”リスペクト”が存在している。

 お互いが西と東で競馬界を代表する騎手として、そして同じスタートを切った同期生として、時には苦楽を共にする同僚であり、時には自身のモチベーションのために欠かせない友人であり、でもやはりライバルであり……そんな付き合いが30年以上も重なった二人。

 それが、武豊と蛯名正義という”オンリーワンの関係”、さらには独特の距離感なのだろう。

 ここで対談の詳細を語ることは控えさせていただくが、個人的に思わずニヤリとしてしまったのは、二人の話が蛯名騎乗のマンハッタンカフェが勝った有馬記念(G1)に及んだ時だ。

 このレース、武は冗談半分で「僕のトゥザヴィクトリーがいいペースで逃げたからこそ、マンハッタンカフェが勝てた。僕のおかげ」と”アシスト宣言”すれば、蛯名が返す刀で「いやいや、よく言うよ。スローペースで危うく逃げ切られるところだったじゃないか」と切り返す――。

 こんな軽快なやり取りが、この二人の独特な関係の縮図のように思えた。

 これからも二人はずっと競っていくのだろうが、同時にずっと支え合ってもいくのだろう。そして、今の競馬界にとって、この東西のトップジョッキーがいかに重要な存在なのか。そんな当たり前のことを改めて認識した特別対談だった。

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