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実態は1カ月の語学研修!?

同業他社も呆れる…日立グローバル人材戦略の内実

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(「日立アプライアンスHP」より)
 日本の製造業各社がグローバルでの競争力向上のため、若手社員の海外研修を積極化している。特に力を入れるのが日立製作所。2年間で2000人規模の若手社員を海外に派遣する試みを始めた。海外経験を積ませ、グローバル市場での対応力を高める狙いだ。ただ、業界関係者の間では「どこまで意味があるのか」と早くも懐疑的な見方も出ている。

 日立の若手社員の海外への大量派遣は、中西宏明社長の肝いりと言われる。2011〜12年度の2年間で、その前の2年間に比べ10倍の2000人を海外に送り込む。入社1年目から30代前半までが対象で、市場が拡大する新興国が中心だ。

 ただ、業界関係者の多くは首をひねる。ある総合電機メーカー幹部は、「いまさら、何を考えているのだろうか?」と、日立の取り組みを酷評する。問題は派遣プログラムの中身だ。派遣先は海外工場や顧客先などだけでなく、語学学校なども含まれる。期間も1〜3カ月と短期的だ。電機業界のアナリストは、「10年前なら悪くない試み。だが、今から開始とはあまりにも悠長。周回遅れだ」と指摘する。   

 というのも、世界の電機各社は新興国市場で生き馬の目を抜くような戦いを繰り広げている。競合で事業領域も重複する、米ゼネラル・エレクトリック(GE)はグローバル展開に際して、現地の有能な人材をヘッドハンティングして、事業の早期立ち上げにつなげている。米国の企業らしく、いちから人を育てるような考えはないわけだ。前出のアナリストは「特に日立の主力であるインフラビジネスでは、地場の商習慣や政界とのつながりが肝。GEはそうした人材に目をつけて、うまく取り込んでいる」と語る。

 もちろん、世界展開でも自前主義を貫く戦略もある。例えば韓国のサムスン電子は本国の社員を長期にわたり、一国に赴任させる。言葉だけでなく、その土地の商取引や慣習、消費者の嗜好を十分に理解させることで、市場開拓につなげているのだ。

グローバル化表明でも、外国人取締役はわずか一人

 こうした世界の巨人に比べれば、日立の取り組みはどっちつかずで中途半端に映るわけだ。若手を海外に派遣し、国内従業員のグローバル化を図る一方、外国人採用や現地採用もじわじわと進める。今秋には帰国子女や外国人を対象とした秋の入社式も、日本で開く予定だ。日立幹部は「我々もグローバル化してきた。日立も将来は社長が外国人になるかもしれない」と鼻息は荒い。だが、海外子会社の大半が日本人で、本社取締役に外国人が一人しかいない状況では夢物語にしか聞こえない。

 その点、13年度に新入社員の3割を外国人に切り替えるソニーや、14年度までに国内の外国人従業員数を、現在の3倍である1000人に引き上げる東芝のほうが「外国人シフト」を打ち出しており、人材戦略は鮮明だ。

BusinessJournal編集部

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