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世界中から注文が来る秘訣は「リアルな店舗」「日本流気配り」

なぜその日本人は、米国で自転車屋を起こし大成功できた?

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なぜその日本人は、米国で自転車屋を起こし大成功できた?の画像1「Chari&Co N.Y.C. HP」より
 メッセンジャー。

 ニューヨークで、今や当たり前に使われる言葉となったこのビジネス。自転車に乗った若者が、渋滞などものともせず、迅速に届けものをしてくれる。そして彼らが愛用するのが「フィクシー」と呼ばれる車体。そもそもは、日本の競輪競技に使用されている車体がベースとなっている。

 なぜ彼らが、そのような自転車を利用するようになったのか?

 その発端は流行の発信源、マンハッタンの交通事情にある。狭いマンハッタンの路上は常に大渋滞。最も早く市中を移動可能な手段は、自転車にほかならない。スピードが出せることはもちろん、乱暴な運転のイエローキャブがひしめく中、それをかいくぐるための細身の車体。日々の仕事に使用するものなので、故障の要因を排除するためのシンプルなつくりと、頑丈さは重要。これらの諸条件を満たすものとして最終的に選ばれたのが、日本の競輪競技用自転車なのだ。もちろん、品質の高さは日本製ゆえの高水準。まさにどんぴしゃの選択。「フィクシー」の語源は、競輪用の自転車ならではの特徴、ギヤが固定されていることに由来するネーミングだ。ニューヨークのメッセンジャーにも気に入られているようである。

 そして、ブームは日本にもやってくる。摩天楼を駆け抜ける彼らの颯爽とした姿を真似する愛好家は増え、映画やドラマのみならず、タレントらの趣味としても人気となる。

 アメリカでブームとなった後に日本へやってきたというわけで、クリスピー・クリーム・ドーナツなどと同様、よくある話のようにも思える。だが、そもそもこの車体は日本の競輪競技専用のものとなれば、そこにビジネスのヒントを見いだす人が出てきても不思議ではない。

●日本の若者2人の「ひらめき」

 そしてそのビジネス・チャンスにいち早く着目し、起業した2人の若き日本人がマンハッタンにいる。彼らの小さな店舗は、今や世界のメッセンジャーバイクのトレンドを左右するほどまでの存在となった。ちょっと痛快な話ではないだろうか。その2人の名前は、後藤雄貴氏と上別府陽介氏。店の名前は「Chari&Co N.Y.C. 」(以下、チャリ&コー)という。店名はもちろん、日本で自転車を指す言葉、「チャリンコ」をもじったもの。創業は2008年。おしゃれなディスプレイと厳選された品揃えは、マンハッタン内でも一番先鋭的で流行に敏感な人々が集まるエリア、ロワー・イースト・サイド(LES)の街並みにもすっかり馴染んでいる。

 両氏は、漠然とした起業の希望だけを持ってニューヨークに来たのだという。そこで目にしたのは、市中をツバメのように駆け巡るメッセンジャーたちと、彼らが愛用するフィクシー。ところが、聞けば彼らは、日本では当たり前のように売られているパーツやアクセサリーの入手に苦労しているというではないか。もちろん、当時、類似商品を扱う競合がないわけではなかった。しかし日本の小さな会社にとってみれば、いきなりアメリカから英文のビジネスメールが届いても、どう対応していいのかわからない。そこで、自ら取引を開始。小さいショップをオープン後には、あっという間にメッセンジャーたちが集う人気店に成長。「自転車屋」というごくありふれたビジネスが、「フィクシー専門店」というニッチ・ビジネスとして成功したのである。

 そして、今やその顧客は世界中に広がっている。米国内各地に加え、歴史ある自転車文化を持つフランスやイタリアなど西欧諸国からのオーダーも多い。さらに、中国やロシア、東欧諸国などからの注文も増えつつある。もちろん現在のような円高傾向下においては、日本からの輸入販売は価格面で不利。しかし、彼らはその供給元を欧州などにも求め、創業当初は9割近かった日本からの輸入は、3年目以降には4割ほどにまで低下している。彼らは、日本からの製品を輸入販売するのではなく、世界中からよりよいものを見つけ出して愛好家に提供しているのである。

 現在では、チャリ&コー自身がトレンドを発信する立場になっており、その動向がそのまま市場を左右するところまでビジネスを成長させている。「新製品のアクセサリ-などは、メーカーが我々と相談のうえ、量産に入るケースも多いのです」(後藤氏)というから、まさにこの市場のトレンドセッターなのである。

BusinessJournal編集部

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