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今は亡き黒川紀章が選挙で見せた掟破りのパフォーマンス

「スポーツ紙の芸能面でド派手に宣伝」選挙戦報道の裏ワザとは?

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 「政治面」に掲載するのであれば、先述の公職選挙法などにより、報道も「公平」にしなければならないが、その分、各候補者のマニフェストは、目立たなくなってしまう。だが、芸能・社会面であれば、「特別なこと」「史上初」「史上最大」「単独行為」などの事象に関しては、候補者が対象であっても、単独で報道を行ってよいのである。例えば、立候補者が交通事故を起こしたとなれば、そのことはすべての候補者に対する「公平な」報道の対象外となる。その日に交通事故を起こしたことは「刑事罰」の対象であって「特別」であり、なおかつ「単独行為」であるから、ほかの候補を差し置いて単独で報道されることになるのだ。

もちろん、交通事故のような不名誉な報道をされても、あまり選挙には役に立たないが、こうした「史上初」「史上最大」な事象は、マスコミに対する「エサ」になる。黒川陣営は、それを最大限に使ったのだ。

●選挙期間中、単独で報道されるには、とにかく“事件”を起こすこと!?

まず、黒川氏本人の無軌道な発言と、「霞ヶ関を全て老人ホームにする」など、かなり過激なマニフェストは、それだけで十分に面白かった。さらに黒川氏は、立川にある学校のグラウンドにヘリコプターで着陸するという、離れ業を行ったのである。

 テレビやスポーツ紙には、ヘリコプターから降りてきてビラまきをしながら演説を行う黒川氏が大きく映し出された。もちろん、ヘリコプターで選挙区に移動することは法律上禁止されていない。また、学校のグラウンドに降りるのも、許可があれば十分に可能である。要するに、完全に合法で、なおかつ最も印象に残る、そしてマスコミやその報道に接する有権者に、強く印象づける登場の仕方だった。

さらに黒川陣営が次に行ったのは、奇怪な形の選挙カーの使用である。各スポーツ紙は、その奇怪な選挙カーの構造図を載せるなどして、紙面で大きく取り上げた。政治面ではお決まりの「都知事選挙公報」などが掲載されているものの、ページをめくると、いきなり「黒川紀章」という文字が出てくるなどして、芸能面を完全にジャックしたのである。

こうして、2日も連続で、ヘリコプター着陸、そして奇怪な選挙カーのお披露目というようにネタを放出した黒川陣営には、特に専用の番記者がつくようになった。そうなれば、黒川氏の独壇場である。もともと世界的な建築家であった黒川氏は、政策とは関係のない自身の哲学などを語りながら、読者・視聴者の期待に応え続け、さらにまた突飛な“選挙活動”を行った。

 「空」「陸」とくれば、次は「海」である。黒川氏は次に移動手段として、隅田川を船で遡るというパフォーマンスを行った。公職選挙法に照らせば、川も公有地であり、その移動物にスピーカーなどをつけて街宣活動を行えば、船であっても街宣活動と見なされることになってしまう。そのために、隅田川を遡る船にポスターを張ったり、スピーカーをつけて演説や街宣を行うことはできなかった。しかし、「番記者」はその船を追い、カメラに収め続けた。黒川陣営も心得たもので、船の外側に黒川氏を立たせ、手を振らせるなどして、十分な効果を演出したのであった。

BusinessJournal編集部

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