(大和書房/児玉教仁)より
その名も『ハーバード流宴会術』。著者は、三菱商事出身で、同社在籍中にハーバード大学経営大学院でMBAを取得、現在は自ら起業した人材育成会社・グローバルアストロラインズの社長を務める児玉教仁氏だ。
「東京の夜の怪物くん」の異名を持つ、宴会の天才の愛弟子である児玉氏に、
「参加者全員をめくるめく絶頂に誘う宴会術」
「宴会を通じてお客様と一緒に夢を語れる仲になり、ビジネスの成功に結びつける」
などについて語ってもらった。
ーーもともと児玉さんは、三菱商事の商社マンだったそうですね。
児玉教仁(以下、児玉) はい。鉄鋼部門に所属し、日常的に接待や宴会が行われていました。
ーー児玉さんは、学生時代からコンパや宴会を仕切ることが得意だったんですか?
児玉 いやいや、実は僕は人と話すこと自体がそんなに得意じゃなく、しかも、お酒がほとんど飲めなかったんです。だから、宴会はかなり苦手でした。
ーーでは、商社マンになってから、社会人として鍛えられたわけですね。
児玉 ええ。宴会、接待といった類は、完全に仕事のひとつでした。最初は夜の席では何もできなかったのですが、たくさんの先輩に鍛えられ、中でも「東京の夜の怪物くん」という異名を取る先輩がいまして……。
ーーそれは、またスゴイあだ名ですね。具体的には、どのような点が“怪物的”なのでしょうか?
児玉 世の中には話し上手な方、芸達者な方、宴会を盛り上げることが得意な方も多くいるかと思いますが、その先輩の宴会術は、参加者が「超楽しかった」と喜ぶ程度では済まされないんです。まるで魔法をかけたように人々の鎧を解き、すっと心に入ってきて参加者全員をめくるめく絶頂に誘うという、なんとも人間業とは思えない……異次元ともいえる宴会を繰り広げる先輩でした。
個人情報の問題があるので詳しくは言えませんが、おそらく、宴会を仕切らせたら日本一といっても過言ではない。その「怪物くん」に師事することになり、徹底的に鍛えられたんです。そのおかげで、商社の中でもトップクラスの職業的な宴会の仕切り屋に成長することができました。
ーー例えば具体例として、児玉さんが身につけられた仕切り屋のテクニックを、いくつか教えていただけますでしょうか?
児玉 出し物も、心理的効果を十分練り込んだものにしますね。結婚式の二次会で、新婦の母親からの手紙を読むといった企画がありますが、これは単に新婦に読んでもらうという形にせず、映画のエンドロールのようにプロジェクターに手紙の文言を投影しながら、感動的な音楽をバックに実際に、参加者全員に自ら読んでもらうという形を取ります。人が読んでいるものを聞くより、自分で文章を読むほうがぐっとくるんですね。これだけで感動も倍増です。
ーーほかには誰でもできるようなテクニックはありますか?
児玉 「スケジュール調整サービスはむやみに使うな」はどうでしょうか。宴会の主賓の日程を調整した後は、宴会を盛り上げてくれるキーパーソンの人や、普段、あまり宴会に顔を出さない人に、直接、声を掛けてあげることが大事です。単に、ネットのスケジュール調整サービスやメールで連絡するだけでは、出席の返信は返ってきません。職場で公表する前に声を掛けておけば、掛けられた人のモチベーションはグッと上がります。出席率もアップするはずです。