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「解雇最前線(PIP(業績改善計画)襲来)」著者・鈴木剛氏インタビュー

最新解雇の実態!リストラ部屋、コンサル活用、急な出向…リストラ部署の業務は就職先探し?

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post_1353.jpg東京管理職ユニオン書記長・鈴木剛氏
 リストラの嵐が吹き荒れている昨今。その最新情勢を「解雇最前線(PIP(業績改善計画)襲来)」(旬報社刊)の著者で、東京管理職ユニオン書記長の鈴木剛氏に聞いた。

ーー解雇の最新情勢はどうなっているのでしょうか?

鈴木剛氏(以下、鈴木) そもそも東京管理職ユニオンができたのは、大規模リストラの起きた93年のバブル崩壊時です。それ以前から、肩たたき、とか、嫌がらせでリストラ部屋やタコ部屋に追いやったり、草むしりさせたり、といった処遇は隠然とありました。

 ただ、かつてと明かに違う手法を始めたのは、08年秋のリーマンショックからです。それがPIP(Performance Improvement Planの略。意味は業務改善計画)です。

ーーPIPの特徴は何ですか?

鈴木 ある日突然、業務上の成績などを理由に、「あなたはPIPの対象になりました」といって、達成できない無理難題を押し付けられます。そして、3か月以内に達成できなければ辞めさせる、賃金半分、など大幅な不利益変更にサインさせられる。

ーーPIPを行うのは外資だけですか?

鈴木 外資だけではなく、日本企業でも始まっています。最初は外資から始まり、日本企業に浸透していきました。しかも最近の傾向としては、もはや社内の担当者ではなく、社外の、いわゆるキャリアコンサルティング会社や人材紹介会社にPIPをさせるケースがあります。業務命令で「あなた、キャリアコンサルティング会社に行きなさい」と言われる。行った先では、「あなたの隠れた能力を開発します」といって、テストをする。テストの結果は必ず、「会社の外に活躍の場を見出した方がいい」と事実上、退職勧奨を外部の人がやる(苦笑)。外部でやると、労働法上は、退職勧奨にならないので、違法にならない。

ーーそういった新手のケースはほかにありますか?

鈴木 大手製造業のA社では、社内にキャリアデザイン室をつくり、そこに100人ぐらい中高年の45~55歳の管理職を押し込めています。そこでの業務命令は、「あなたは就職先を探すこと」です。仕事を探してこないと、S、A、B、C、D、E評価のなかで、最低のE評価になってしまう。そうなると年俸は毎年50万円ずつ下がります。無事に最高のS評価になるときは、就職先を自分で見つけた時。要するに、S評価になると、晴れて辞める。マンガみたいな話ですけど(笑)。

 ほかに、大手不動産B社では、リーマンショックのあと、約600人くらいをまず、退職勧奨しました。そこで辞めずに粘った人のうち約40人を、キャリアコンサルティング会社を挟んで、「あなたは営業をしたことがないのが弱点だ。営業をしてキャリアを磨かなければいけない」という理由で、全くB社と縁もゆかりもない外資の生命保険会社に出向させて、外交員をやらせました。

 それでも親族や友人に保険に入ってもらったりして何とか辞めずに残ると、今度は、飛び込みのテレアポ営業をして商品を売りつける会社に出向させられました。ブロイラーみたいに、すし詰めで、ついたてもない机に座って、一日200件ほどひたすら電話をかけなければいけない。それで精神疾患気味になって、十二指腸潰瘍になり、うちに転がり込んできた人もいます。

ーーそうしたPIPに遭ったらどうすればよいのでしょうか?

鈴木 絶対大事なポイントは、業務命令に従う、という建前を守りながら、異議留保の申し立てを行うことです。「異議留保の申し立て」とは、名前、住所、印鑑と、PIPの具体的内容を記した文書です。その際、注意書きで、「私は業務命令には従います。しかし、今回、会社によってなされた措置には、納得していません」と一筆入れる。そうしないと、PIPを認めたことになってしまう。

BusinessJournal編集部

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