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百貨店で高額商品販売好調のワケ、に見るデフレからインフレへの転換

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伊勢丹新宿店百貨店業界首位の三越伊勢丹ホールディングスの
伊勢丹新宿本店(「Wikipedia」より)
 国内系、外資系運用会社を渡り歩き、株式投資の最前線に20年以上携わった後、現在はマネックス証券チーフ・ストラテジストを務める広木隆氏。そんな広木氏が、気になる旬のテーマを通じ、ビジネスの本質に迫る。

●D・ワーウィックが破産申請、負債総額10億円 – 朝日新聞デジタル(3月26日)

 グラミー賞を5度受賞した米国のベテラン歌手ディオンヌ・ワーウィックが、自己破産を申請した。2つのことを思った。ひとつは、一世を風靡したスーパースターも厳しい末期を迎えるという諸行無常。特にディオンヌ・ワーウィックの従姉妹、ホイットニー・ヒューストンが悲惨な死を遂げたこともあって、なおさらそのような思いが強い。もうひとつは、税金で破綻する例のなんと多いことか。日本でも相続税が払えなくて自己破産する例が増えている。

●百貨店、高額商品売り上げ好調 2月 – 朝日新聞デジタル(3月20日)

 デパートでモノが売れている。アベノミクスの効果だ。特に高級なブランド品や時計・美術・貴金属など高額商品の売り上げが好調だという。株高による資産効果という見方が一般的だし、実際その通りなのだろう。ただし、そこにあと2つほど別の要因も絡むと思われる。その点については、こちらのコラム『広木隆の「投資の潮流」第35回 消費マインド改善に見るアベノミクス効果』に書いたのでご参照いただきたいが、もうひとつ、別の視点で眺めることもできる。それは税金という観点からである。富裕層が、どうせ税金で取られるなら「使ってやれ」とカネを使い始めたのではないかという見方だ。

 日本マイクロソフト元社長・成毛眞氏がこんなことを述べている。

「デフレ下ならカネの価値がどんどん上がるから、金持ちは日本にとどまる。何もしなくても10年で倍になるから10年後に資産の半分を相続税で払っても、結局一緒になる。しかし、これがインフレに転化する局面になれば、どんどんカネの価値が落ちるから海外へ行こうとする動きが出てくる。

 でも国税庁は国籍転換しないかぎり、所得を捕捉すると言っている。(中略)国税庁が捕まえると言っているから、誰も海外に行かないだろう。富裕層の人々はみんなあきらめて国内で使ってやろうという気持ちになっている」
『富裕層は「日本脱出」をあきらめる 成毛眞インスパイアファウンダーに聞く』より)

 税金からは逃げられない。タックスヘイブンを使うという手はどうか。今回のキプロスの破綻劇が例外だとするなら、それもありかもしれないが、誰が「キプロスは例外」だと言い切れるのだろう。

●キプロス 預金者負担最大60%に – NHK NEWS WEB(3月31日)

 ロシアとの結びつきやマネーロンダリングの温床との指摘が絶えないなど、特殊事情はいろいろあるとはいえ、これはギリシャ危機の余波を受けた銀行破綻のひとつである。60%の預金カットと騒ぐが、銀行が破綻すれば預金保険で保護される以上の額はパーになるのが普通である。日本でも2005年4月よりペイオフ解禁となり、自分がおカネを預けている銀行がつぶれた場合は、1000万円とその利息までしか原則戻らない。

 日本で高額商品が売れているという話に戻ろう。これは、ひとえにデフレ脱却期待、裏を返せばインフレ期待が出てきたということである。デフレからインフレへの転換だ。

●千代田区 公園でのボール遊び解禁へ – NHK ONLINE(3月28日)

 転換する、変化する、という意味では、これも変化のひとつ。

 これまで禁止されていたことにも驚くが、解禁の理由が子どもの体力低下が問題となるなか、子どもたちに外での遊びを促すためだというのにも驚く。週に1日、放課後の2時間、小学生以下と保護者に限ってボール遊びを解禁するのだという。「子どもたちが外遊びを通じてたくましく育つよう、この条例を通じて区の理念を区民に伝えたい」というが、そんなことで子どもがたくましく育つと本気で思っているのだろうか。いやいや、皮肉を言うのはやめておこう。なんにせよ、良いことではないか。一歩、踏み出したのだ。日本経済も千代田区の公園行政も。まずは一歩、正しい方向に踏み出すことが肝要である。

 ところで公園のボール遊び解禁とデフレ脱却と、なんの関係があるのかって?

 千代田区がボール遊びを禁止していた理由は、公園の敷地が狭いために、ベンチなどで休憩している人の迷惑になるからというものだった。つまり、「動かない人」を優先していたのである。それが、今度はボール遊びをする「動く人」にも配慮することになった。これは“静”から“動”、まさに“デフレ”から“インフレ”への転換に呼応した変化だ、と言ったらこじつけが過ぎるだろうか。

BusinessJournal編集部

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