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セブン、独り勝ちのカラクリ 加速する強気出店とPB拡大…飽和説覆すコンビニ3強

セブン、独り勝ちのカラクリ 加速する強気出店とPB拡大…飽和説覆すコンビニ3強 の画像1コンビニ最大手のセブン-イレブン
 コンビニエンス・ストア(コンビニ)大手5社の2013年度第1四半期(13年3-5月期)決算(単独)が、このほど出揃った。セブン-イレブン・ジャパン(セブン)とローソンの営業利益が過去最高を記録する一方、他の3社は前期比減益だった。

 また、既存店売上高が前期比増となったのはセブン(0.9%増)のみ。他の4社は出店競争や他業態との競合などが響き、既存店の売上高が鈍化した。セブンのみが売上高を伸ばしたのは、PB(自主企画商品)の「セブンプレミアム」と「セブンゴールド」(高価格帯PB)の好調が要因。

 セブンは12年度(13年2月期)決算でも前期比増収増益を達成するなど、このところ大手の中でひときわ存在感を強めている。その原動力になっているのが、他社を圧倒するPBの強さだ。

●メーカーのヒット商品を狙い撃ち

「虎の子を、こんなに早くセブンに渡すのか」。今年5月、セブンが即席袋麺PB「セブンゴールド金の麺」を発売した直後、食品業界の一部で驚きの声が上がった。それもそのはず。「金の麺」は「東洋水産のヒット商品『マルちゃん正麺』の実質的なセブンPB版」(食品メーカー関係者)といわれるからだ。

「正麺」は年間18億食といわれる即席袋麺市場で、11年11月の発売から1年間で2億食の売上を達成したヒット商品。「ツルツルとした舌触り、モチモチとしたコシなど生麺に限りなく近い食感」(同)が消費者の人気を集めた。

「金の麺」は、セブンが東洋水産と共同開発したPB。東洋水産の役員は「正麺と金の麺は製造技術も味も異なる」と「正麺のセブンPB版説」を否定しているが、「セブンが正麺のヒットに目を付け、類似品をつくらせたのは明らか。販売を主導する小売が、メーカーから虎の子技術を引き出す強い立場にある事実を示した典型的な例」(大手証券関係者)との指摘も聞かれる。

 コンビニやスーパーでの「マルちゃん正麺5食パック」の実勢価格は398円程度。「セブンゴールド金の麺5食入り」の価格は、これより50円安い345円。

 東洋水産が強調する「味の差」程度では、ことセブンの店頭では正麺のシェアが価格差で金の麺に食われるのは必定。それでも同社が共同開発の名目でセブンに虎の子技術を提供し、割安価格設定に同意したのは「セブン&アイ(セブンの持ち株会社)さんとは幅広い商品供給で長いお付き合いがあり、PB共同開発を機にパートナー関係を強化したい」(東洋水産役員)との思惑があるようだ。

●小さい売り場面積を逆手に

 セブン&アイが07年から開始したPB「セブンプレミアム」と「セブンゴールド」の売上高は、12年度通期で約4900億円に上り、売上高全体の10%弱に及ぶ。品目数は約1700で、1品目当たりの売上高は単純計算で約2.9憶円。

 対して、PBランキング(「週刊東洋経済」<東洋経済新報社>調査)1位の「トップバリュ」(イオン)の12年度売上高は約6800億円でセブンPBを上回るが、品目数は約6000もあるので、1品目当たりの売上高はこちらも単純計算で1億円強にとどまる。

 この違いは、品目数を増やせば「PB競争優位」とは単純にいかない事実を示している。流通業界関係者は「コンビニはスーパーより売り場スペースが小さく、したがって品揃えがスーパーより少ない。そのコンビニの弱点を逆手に取っているのが、セブンのPB戦略の特徴」と、次のように説明する。

 売り場スペースが小さいので、メーカー側には「良い商品をPBとして差し出さなければ棚に並べてもらえないし、PBを供給しなければNB(メーカー品)もセブン&アイ傘下では仕入れてもらえない」との恐怖感がある。これを背景に「メーカーのヒット商品や中核商品を狙い撃ちでPBに取り込んでいるのが、セブンのすごいところ」だという。

 大手証券アナリストも「厳選した魅力的なPBを棚に並べれば販売力が強まり、メーカーからも独自技術を提供してもらえる。メーカー自身もより魅力的な商品開発に注力してくれる。こうした好循環がセブンPBの強み」と、前出関係者の説明を肯定するような見方を示している。

●四国では、サンクス大規模加盟店がセブンにくら替え

 PBを武器に、出店でもセブンの勢いは止まらない。「コンビニはもはや飽和状態といわれるが、当社はそう思わない。高齢者や主婦に客層が拡大しており、出店余地はまだまだ大きい。ご当地でも『近くで便利なセブンのお店』を提供したい」と、セブンの古屋一樹副社長が胸を張ったのは、今年2月末に徳島市内で同社が開催した四国初出店発表会の席上だった。

 同社は今年3月1日に、香川県と徳島県で一気に14店を同時出店。来年3月までに両県で140店を出す予定。さらに今年度中に愛媛県、16年度中に高知県に進出。今年度から16年度までの6年間に、四国4県で570店のチェーン展開を計画している。これにより同社の出店エリアは44都道府県となり、「セブン空白県」は青森、鳥取、沖縄の3県を残すのみとなる。

 国内のコンビニ店数は昨年11月末に限界とされていた5万店を突破、出店余地が縮小している。だが「そんなことはどこ吹く風」が今のセブンだ。昨年度は過去最高の1354店を出店。今年度1500店と、逆に出店ペースを速めている。

 強気の背景は冒頭の業績好調にある。日本フランチャイズチェーン協会の直近統計(「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」13年5月度)を見ると、コンビニ分野の加盟10社全体ベースの既存店売上高(前年同月比)は12カ月連続のマイナス。これに対してセブン単独の既存店売上高は10カ月連続のプラスと推測されている。

 大手証券アナリストは「PBと総菜の拡充で、主婦や高齢者の来店増に成功しているのが要因」と分析、セブン既存店の日販(1日当たり1店平均販売額)は約67万円で、他社と10万円以上の差をつけていると指摘。「このため他社が採算割れに陥っている立地でも、主婦や高齢者の取り込みで利益を出している」という。

 さらに、今回の四国進出では競合を震撼させるできごともあった。

BusinessJournal編集部

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