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三木谷楽天会長、株式売却で高まる野党再編気運〜資金援助求め議員の“三木谷詣で”も

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三木谷楽天会長、株式売却で高まる野党再編気運〜資金援助求め議員の“三木谷詣で”もの画像1楽天会長兼社長の三木谷浩史氏(「同社 HP」より)
 楽天会長兼社長の三木谷浩史氏と妻の晴子氏は、保有する楽天株式の一部(3600万株)を市場で売却。持ち株比率は2人で40.4%(今年2月時点では43.2%)となったことが、7月26日付で関東財務局に提出した株式大量保有の変更報告書で明らかになった。

 三木谷氏夫妻が持ち株の売り出しを公表したのは2月だった。関東財務局に提出した書類によると、売却期間は2月21日から12月27日まで。市場で売却することを目的として、三井住友信託銀行と信託契約を結んでいた。変更報告書によれば、予定枚数の売却が完了したため信託契約が終了したという。2月時点で、楽天筆頭株主であり、三木谷氏の資産管理会社クリムゾングループが17.1%、三木谷氏が15.4%、晴子氏が10.7%で合計43.2%の楽天株式を保有していた。

 アベノミクスによって楽天の株価は上昇した。2月末時点の株価は800円前後。4月には1000円台、5月からは1200~1300円前後で推移していた。変更報告書によれば、全営業日にわたって売却が続けられて、予定枚数を売り切った。平均売却価格が1000円程度だとすると売却総額は360億円前後になる。1月4日の安値(672円)のままなら240億円であったが、株価上昇で120億円も上振れした。

 上場株式などの配当や株式を売却した際、譲渡益にかかる税率を20%から10%に軽減する証券優遇税制の期限が、今年末で切れる。この税制は、小泉純一郎政権時代の2003年、預金に偏っている家計の金融資産を証券市場に誘導し証券投資を活発にする目的で導入された。時限立法として導入して以来、延長を繰り返してきたが、今年いっぱいで打ち切られる。今年中に株を売却すれば売却益の税率は10%だが、来年からは20%になる。10%の違いは金額に大きく跳ね返ってくる。

 三木谷夫妻の保有株式の取得原価は1株70円前後、1000円で売れば930円が課税所得になる。売却総額が360億円なら課税所得は334億8000万円だ。税制優遇措置が適用されるので33億4800万円の節税になる。三木谷氏は、政府の成長戦略を策定するための産業競争力会議の民間議員の1人だが、アベノミクスを推進する立場の三木谷氏がアベノミクスの恩恵を大きく受けたわけだ。

●野党再編の軍資金か

 三木谷氏の株式売却の目的について、市場ではさまざまな臆測が飛び交っている。外資系証券会社のアナリストは、次のように見る。

「最近の三木谷氏は、部下に仕事を任せているので、楽天ではほとんど仕事がない。ベンチャー起業家である彼は、株式売却で得た資金で、京セラ創業者の稲盛和夫氏が第二電電(現KDDI)を立ち上げたように、新しい事業を立ち上げるのではないか。ソフトバンクの孫正義社長が米国の携帯電話企業を買収した時、三木谷氏はライバル心を燃やしていましたから」

 その一方で、「株式売却で得たキャッシュを政治活動に使うのではないか?」との声も出ている。「三木谷浩史が楽天新党をつくる」。こんな情報が永田町を駆け巡ったのは、10年2月初めのことだ。週刊誌「AERA」(朝日新聞出版/2月15日号)に掲載された「『楽天新党』が動く」と題する記事が発端である。2月1日、ホテルオークラ別館の個室で三木谷氏は民主党の若手議員との会合を持った。記事には次のように記されている。

「三木谷氏を囲んだのは、テレビ討論会にもたびたび登場する細野豪志党副幹事長と馬淵澄夫国土交通副大臣。田島一成環境副大臣、泉健太内閣府政務官、近藤洋介経済産業政務官、太田和美衆院議員に、田村謙治内閣府政務官を加えた計7人(※編註:肩書は当時)。いずれも民主党が苦手としてきた地方都市で議席を守り続ける当選2~4回の議員で、元自民党でも松下政経塾出身でもない『民主党生え抜き』だ」

 参加者によると、三木谷氏は彼らを前に「もっと世代交代しなくちゃ」などと決起を促す場面があったという。「AERA」のこの記事が出ると「楽天新党結成か」と永田町が色めき立ったのはいうまでもない。

 ここにきて再び、その可能性を口にする永田町関係者が増えており、政界関係者は「三木谷氏にとって、今は新党のスポンサーになる絶好のチャンス」だと解説する。

 野党再編のネックは新党をつくるためのカネだ。野党再編ムードは高まっているが、資金を持ったリーダーは見当たらない。三木谷氏がタニマチとして政治に関わるのに追い風だ。楽天株売却で得た巨額のキャッシュは、果たして野党再編の軍資金に使われるのだろうか。野党議員の“三木谷詣で”が、すでに始まっている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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