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“一発屋”ヒロシが語る、ブーム終息後の芸人の苦しみと現実、8年ぶり単独ライブのワケ

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“一発屋”ヒロシが語る、ブーム終息後の芸人の苦しみと現実、8年ぶり単独ライブのワケの画像2ヒロシ単独ライブ「泥水」(11月2日<土>、3日<日>)

ヒロシ 毎年1回やっていたとすれば、8回できたわけです。でもやらなかった。

 理由としては、やる気がうせてしまったり、「どうせやっても客来ないんでしょう」「たとえライブで成功を収めても、テレビに出てなければ成功とは見なされないんでしょう」っていうネガティブな思いがありました。「どうせおもしろいことをやっても、つまらないと思われるんだろう、僕は一発屋だから」とかですね。

–「一発屋」という言葉に、意欲をそがれていたと。

ヒロシ 単純に嫌ですよね、一発屋なんて言葉は。だけど、現実的にそんなことを言ってられなくなる。食うため、日々の生活のために。

 そうした時に「一発屋芸人」としての枠や出番がある。ならば、そこに適応していこうと、割り切ったわけです。でも、割り切るまでに時間はかかりましたよ。「一発屋なんて言われたくない」って思っていましたから。

–今振り返ってみて、その「一発」はあってよかったと思いますか? それとも今こうなるくらいなら、ないほうがよかったという思いですか?

ヒロシ いや、それはあってよかったですよ。確かに一度“ブレイク”と言っていただける状態を経たことで、大変なこともありますけれど。でも、あの一連の流れがなく、仮にお笑いを続けていたとしたら、今ごろ僕はただのアルバイトですから。
 
 今僕は41歳なんですが、人生80年としたら、あと半分生きたら死ぬというところまできてる。その年齢になって、19や20歳そこらの大学生と一緒に、コンビニとか漫画喫茶とかでアルバイトして、「あの人、お笑いやってるらしいよ」って陰口を叩かれ、そんな陰口に気付いていながらも働く–そんなのまっぴらです。

–陰口に気付きながら働くみじめさというのは、ヒロシさんは実際に経験されたことも?

ヒロシ 僕、31〜32歳くらいまでバイトしてたんですが、やはり精神的にきつかった。僕は誰とでも話すタイプの性格ではない。ただそれだけなんだけれど、周りは陰で「お笑いやってるのにしゃべらないの? 気持ち悪い」とか言うわけですよね。あの、陰で言われている感じが嫌でした。言われているとわかっていて働くということに耐えられない。

 それに比べれば、一発屋と呼ばれようが、一発世に出たことでお金をもらえましたから、まだいいです。だけど、きついはきついですね。精神的に。

–売れてから終息していくまでの、周囲や自身の心境の変化というのは、どのようなものなのでしょうか?

ヒロシ 売れている時には、何かしら常に誰かに話しかけられるという環境でした。仕事のことにせよ、そのほかにせよ。それが落ち目になってくると、だんだんその回数が減ってきて、やがて2〜3年もたつと話しかけられることがなくなりました。

 話しかけられなくなっていった心境ですか? 「一発屋だから、しゃべることもないんだろう」って。それだけですね。

●ブーム終了がもたらす一番の苦しみとは?

–ブレイクしてから現在まで、収入面の変化は?

ヒロシ 一発屋芸人の年収の話題というと、絶頂期にはとんでもない額を手に入れ、落ち目になってから激減、一気に地獄に落ちた……というのがおもしろいんでしょうけれど、僕の場合、残念ながらそうではないんですよね。貯蓄があったので、金銭的ダメージって、実は喰らっていないんですよ。

 ただ精神的なダメージはきつかったです。とにかく暇で、仕事がなくて、暇をどう潰せば、時間をどう使えばいいのやら……。暇を持て余すって、けっこうな責め苦ですよ。

–実際、その頃は、どのように毎日を過ごされていたんですか?

ヒロシ 自分がそんなふうにしている間も、世間でおもしろいとされる芸人さんたちは、テレビで仕事して活躍されている。だから、そういう期間はテレビでもお笑い番組やバラエティ番組の類いは見るのを避けてましたね。NHKの動物番組みたいな差し障りのないものを見ていました。ヌーの大群とかね(笑)。

 暇だから、バイトしようかなって思ったこともありました。でも「ヒロシがバイトしてるぞ」ってなるじゃないですか。だからやるにやれない。

–今再ブレイク中のお笑いタレント・有吉弘行さんも、“猿岩石ブーム”が去った後で仕事がない期間も、下手に顔が売れているからバイトしようにもできなかったと言っていました。

ヒロシ そうですよね。できるっちゃあできますよ。でも「アイツ、一発屋芸人で、売れなくなってバイトしてるんだぜ」って見られると思うと……ねぇ。そんな小さなことなんて気にしないで、普通に働けばいいのかもしれませんけれど。疲労度が倍になりそうで。

 でもとにかく僕は働きたいっていう欲求が強くて、それとの戦いでしたね。働くって、何も芸人としての仕事じゃなくてもいいんですよ。とにかく「労働」がしたいって。それくらい、暇なことがつらくて仕方なかった。

 それで、暇つぶしにバンドを始めたんですよね。MARMALADEってバンドでベースを弾いています。ここ数年は、ありがたいことに舞台なんかの仕事も頂いていますね。

–これから再ブレイクの可能性はあるとお考えですか?

BusinessJournal編集部

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