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「大塚将司『反メディア的!その記事、ダマされていませんか?』」第19回

年間被害額450億…急増する振り込め詐欺から透ける、高齢者と若者の世代間格差

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年間被害額450億…急増する振り込め詐欺から透ける、高齢者と若者の世代間格差の画像1「Thinkstock」より
 「オレオレ詐欺」「還付金詐欺」、今年は「母さん助けて詐欺」と、手口が変わるたびに警察が名称を変えて注意喚起をしている高齢者をターゲットにした振り込め詐欺の被害拡大は、一向に歯止めがかからない。

 ここまでくると、“マルビ”(貧困の広がる)若者vs.“マル金”(金持ち)老人という、現在のニッポン社会を炙り出しているようにも思える。

 12月2日に警察庁が発表したところによると、今年1~10月の振り込め詐欺の被害額は約383億円に上り、2012年1年間の約364億円を上回った。4年連続の増加、2年連続で過去最高額を更新したことになり、年間では450億円を上回るとの見方も出ている。

●警察は被害拡大の食い止めに必死

 こうした事態に対し警察当局が、犯人グループの検挙はもちろん、被害を防ごうと啓蒙活動などに全力を挙げていることは事実だ。

 今年初めのことだ。筆者が駅前の無人ATM店舗に入ろうとすると、入り口に警官が立っていてビラを渡された。それには「ここでオレオレ詐欺事件が起きました。注意してください」と書かれていて、被害状況を伝える新聞記事のコピーも付いていた。

 そして今度は1カ月ほど前、警察署から電話あり「昨日、この管轄内でオレオレ詐欺の被害がありました。電話に気を付けてください」というのだ。「なぜ、注意喚起の電話をしてくれたのか」と問うと、「電話帳に載っている管轄内の個人宅の電話番号に順番に電話している」とのことだった。

 電話や電報、手紙などを利用して金銭を振り込ませる詐欺犯罪は過去にも存在した。しかし、目立ち出したのは21世紀に入ってからで、04年12月に警察庁がこうした詐欺行為を“振り込め詐欺”と命名、社会問題化してから10年たった。この間、09年と10年だけ被害総額を100億円程度に抑え込んだこともあったが、警察の努力の甲斐なく、直近4年間は被害が急拡大している。

 一体なぜなのか?

●高齢者の増加だけが原因ではない?

 まず、誰もが気付くのは、日本が超高齢化社会に突入している点だ。口車に乗せられて騙されやすい高齢者人口が増えているから、過去に比べれば被害に遭う人が多くなるのは当然といえば当然だ。

 しかし、被害額の増え方は高齢者人口の増加ペースをはるかに上回る。今の高齢者のほうが昔より騙されやすくなっているとは考えにくい。そうすると、騙されても困らない高齢者が増えていると結論付けるほかない。

 もう一つ、注目しなければいけないのは、騙された高齢者が将来を悲観して自殺したという報道にお目にかかったことがない点だ。すべての報道を丹念に見ているわけではないので断言はできないが、そういう悲劇があれば、誰の目にも留まるような目立つ報道になっているはずだ。

 被害者の多くは、数百万円以上騙し取られているが、それだけの資産を失っても、自分の生活が困窮するような懸念のない高齢者が多数いるのだ。だから、振り込め詐欺の被害拡大に歯止めをかけられない。

BusinessJournal編集部

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