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ソニー、深まる視界不明瞭と、赤字10年目迎えるテレビ事業の呪縛~株価低迷の背景とは

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ソニー、深まる視界不明瞭と、赤字10年目迎えるテレビ事業の呪縛~株価低迷の背景とはの画像1ソニー本社(「Wikipedia」より/Shuichi Aizawa)
 今年、パナソニックソニーの株価は接近し、もしかするとパナソニックが逆転してソニーを抜くかもしれないという観測が広まっている。

 1月28日のソニーの株価(終値、以下同)は46円安の1665円、パナソニックは17円高の1205円で、1月16日には昨年末高値の1408円をつけている。ソニーの株価は長期の下降相場の様相をみせており、昨年11月の安値、1641円を割り込むと4月安値の1559円が視野に入る。

●ムーディーズがソニーを投機的等級に格下げ

 米系格付け会社、ムーディーズ・ジャパンは1月27日、ソニーの長期債務格付けを「Baa3」(トリプルBマイナス相当)から、投資のリスクが相対的に大きい「投機的」水準の「Ba1」(ダブルBプラス相当)に1段階引き下げた。信用力を投資適格水準にまで短期的に戻すのは困難になったとしている。ムーディーズはソニーのテレビやパソコンといったエレクトロニクス事業の大部分で、収益が大きく下方圧力にさらされていると指摘。ソニーの収益性は脆弱だとした上で、エレクトロニクス事業以外の音楽や映画、デバイスなどではソニー全体を投資適格に維持するのに十分ではないとした。

 ムーディーズは12月11日にソニーを「Baa2」から「Baa3」に引き下げ、昨年11月にはさらに引き下げの方向で見直しを始めると発表していた。ちなみに欧米系格付け会社、フィッチ・レーティングスは、昨年すでにソニーの格付けを「投機的」水準に引き下げている。

 ムーディーズの今回の格下げで、金利が高くなり社債発行時の条件が不利になるソニーは、「当面の資金は確保されており、資金繰りに問題はない」とコメントしているが、株式市場がソニーを見る目は一段と厳しくなる。

●パナソニックとの明暗

 そんなソニーを尻目に、パナソニックは経営改革のスピードを加速させる。

 パナソニックは薄型テレビなどデジタルAV家電を、冷蔵庫や洗濯機などを手掛ける白物家電部門に統合する。配置転換は1000人規模に及ぶが、人員の削減は行わない。労働組合に13年12月に組織改変を申し入れ、協議を進めており、4月に実施する予定だ。

 津賀一宏社長は昨年秋、「テレビを特別な商品と考えていない。白物家電のひとつとして位置付ける」と体制の変更を示唆していた。テレビに過度の期待をせず、その比重を急激に下げていく。将来は、ネットワークを通じて情報を処理するクラウド技術をテレビに活用。テレビのリモートコントロール機器を使って、洗濯物や冷蔵庫を操作することも考えているのだという。

 1月上旬、米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」の会場で、津賀社長は「タイムリーに投資しなければならない状況が増えてきた。住宅関連や自動車分野でM&A(合併・買収)を検討する」と述べ、巨額赤字が続き大型投資に慎重にならざるを得ない状況から、14年は攻めの経営にギアを切り換え、積極投資に転換する方針を明らかにした。これを好感して同社の株価は12年末の522円から1345円と上昇、約2.6倍になった。4年ぶりの高値である。

●新主力スマホも苦戦

 一方、ソニーの平井一夫社長兼CEOはCESの基調講演で、「スマートフォン(スマホ)事業で米国と中国に本格進出し、2年後に世界の年間販売台数を2倍に増やす」と宣言した。現地の携帯電話大手と連携して、世界シェア第3位を目指すという。スマホを原動力に不振のエレクトロニクス事業の収益改善を進める。

BusinessJournal編集部

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