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日本の工場が危ない?スーパーの値下げ圧力で疲弊、深刻化する安全・衛生軽視

文=松井克明/CFP
日本の工場が危ない?スーパーの値下げ圧力で疲弊、深刻化する安全・衛生軽視の画像1「Thinkstock」より

「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/3月15日号)は、『どうした日本の製造業 工場異変』という特集を組んでいる。「メーカーでは事故・事件が多発。コスト競争に負けた工場の閉鎖も相次ぐ。ものづくりの現場で何が起こっているのか」という内容だ。

 特集記事Part1『工場の安全 工場でつくるモノは安全か』では、ここ数年相次いでいる化学メーカーの重大事故を紹介している。その概要は以下の通り。

・2011年11月、東ソーの南陽事業所で爆発、1人死亡
・12年4月、三井化学の岩国大竹工場で爆発、1人死亡
・12年9月、日本触媒の姫路製造所で爆発、1人死亡
・14年1月、三菱マテリアルの四日市工場で爆発、5人死亡

 世界的に重大な事故が頻発した70~80年代の教訓から、化学工場は安全な工場になったが、それゆえに安全が当たり前となり、そこで働く従業員は「化学反応に対する基本的な理解さえも不足している」(安全工学会専門家)という。

 また「化学はマイナーな産業」になり、優秀な人材を採用しにくくなっている。「研究職はまだ人気があるが、製造現場に行きたい人間は1割もいない。若手が入らないから議論がなくなり、もっと吸収しようという現場の意欲がなえている」(大手化学首脳)のも一因だ。

●続々と閉鎖する工場

 特集記事Part2『工場の立地 工場は日本で成立するのか』では、工場の撤退が相次ぎ、地域の雇用・税収が減っていく現状を危惧する。工場跡地の多くはイオンモールなどに生まれ変わっている。

 昨年3月末に閉鎖されたソニー子会社のソニーEMCS「美濃加茂サイト」では、人員(岐阜県在住)2160人のうち非正規社員は8割弱(1675人)、このうちの約半数に当たる835人はブラジル人など外国人労働者だった。雇用保険に加入していたために、ほとんどの外国人が失業手当を受給できているが、地域に与える影響は大きい。

 特集記事Part3『工場の未来 それでも生き残る工場はどこだ』では、電力、ロボットも自前で調達し、超効率化を図る世界2位の建設機械メーカー・コマツや、完全一貫ラインの最新設備で匠の技を磨く工作機械大手・オークマの取り組みなどを紹介している。

●衛生面の意識が低い食品工場の実態

 今回注目したいのは、マルハニチロホールディングス傘下・アクリフーズの農薬混入事件で明らかになった食品工場現場における危険性だ。日本の食品工場に詳しい専門家は、次のように指摘する。

「あれは日本の平均的な工場の話。大きなニュースにならないレベルなら、他にいくらでもある」

松井克明/CFP

松井克明/CFP

青森明の星短期大学 子ども福祉未来学科コミュニティ福祉専攻 准教授、行政書士・1級FP技能士/CFP

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