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ヤマダ電機、過労自殺社員の遺族が提訴 週間残業47時間、精神障害を発症か

文=佐藤裕一/回答する記者団
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ヤマダ電機、過労自殺社員の遺族が提訴 週間残業47時間、精神障害を発症かの画像1ヤマダ電機本社が所在する「LABI1高崎」の巨大なビル。写真のすぐ左側にJR高崎駅の入り口がある。
 従業員に対して過酷な労働やサービス残業を強いたり、パワハラや偽装請負などが問題視されている企業の頂点を決めるという2012年から始まった企画「ブラック企業大賞」の今年のノミネート企業が7月30日、発表された。居酒屋チェーン「日本海庄や」を展開する大庄、西日本旅客鉄道(JR西日本)などと並び、家電量販店トップのヤマダ電機が選考対象となっている。

 同社では2007年9月、新任フロア長の男性社員(当時23歳)が過労自殺し、遺族が昨年12月、会社に安全配慮義務違反があったとして、損害賠償など計約1億2100万円の支払いを求めてヤマダ電機を前橋地裁高崎支部に提訴した。男性社員はなぜ死亡したのか。裁判資料を基に報告する。

●契約社員から管理職へ

 ヤマダ電機の郊外型店舗、テックランド柏崎店は07年9月、開店準備の最終段階を迎えていた。店長を含めた管理者5人は9月5日に同店に入り、本社の支援チームらとともに、21日の開店を目指して店舗構築を開始した。管理者5人のうちの1人が、新任フロア長のA氏(仮名)だった。

 A氏は04年12月、中途採用の契約社員としてヤマダ電機に入社。富山と新潟のテックランドで2年8カ月の経験を積み、赴任3週間前の8月半ば、柏崎店の黒物(テレビ、レコーダーなどの娯楽用家電)フロア長(管理職)に抜擢されたばかりだ。

 会社側の陳述によれば、もともと柏崎店の黒物フロア長は、A氏とは別の経験豊富な社員に任せる予定だった。ところが、ヤマダ電機はこの人事を見送り、代わりに候補者の1人に選ばれたのがA氏だ。会社側準備書面によると、ヤマダ電機は「原則としてフロア長以上の者を社員としていた」制度上の都合から、契約社員のA氏を正社員に引き上げる必要があった。

 ところが、専門学校卒業後もアルバイトで生計を立て、正社員の経験がなかったA氏にしてみると、(1)初めての正社員、(2)初めての管理職、(3)初めての新店舗の開店作業が重なった。管理職として担当することになる黒物フロア自体も、経験はわずか5カ月だ。

 労働基準監督署の調査復命書(労災調査報告書)によると、A氏は正社員登用された8月16日以降、当時配属していた富山本店で、通常業務をこなしながら新任フロア長研修と管理職研修を受けたという。その結果、以前は1日2時間程度だった残業が正社員登用後は4時間を超えるようになった。

 A氏は9月2日に富山本店での勤務を終え、5日に柏崎店へ赴任した。

●開店1週間前は「管理職全員、極度の疲労状態」

 9月5日と6日は一般社員がまだ入店しておらず定時で退社し、柏崎店の全社員が初顔合わせした7日も定時に退社したが、A氏はこのころにはすでに体調を崩していたようだ。調査復命書には7日のこととして「最近熱があって下がらない」と話したことが記載されている。

 開店作業が商品搬入、商品陳列と進むにつれて忙しくなり、洗濯すらも思うようにできなかったようだ。労基署の聴取記録によると、12日ごろ、両親が社宅を訪れて窓から室内を覗くと、「室内には洗濯物が干され、洗濯機の中に入りきらないほどの洗濯物がありました」というありさまだった。

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