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BABYMETAL戦略に学ぶ、産業の成長戦略 「Kawaii×技術力」のすり合わせ

文=小林敬幸/『ビジネスをつくる仕事』著者


「メギツネ」(BABYMETAL/無料動画サイト「YouTube」より)

 世界が注目する日本の音楽ユニット・BABYMETALをご存じだろうか。アイドルとヘビーメタルの融合を掲げる15~16歳の3人組のガールズユニットで、無料動画共有サイト「YouTube」上に掲載されたプロモーションビデオは1300万回も再生されている(8月時点)。寄せられている数多くのコメントはほとんど英語で海外からのものだ。

 7月には、イギリスの大型メタルフェス「Sonisphere Festival UK」で、神のごときメタルの大御所たちと同じステージに立ち、8月には、世界的アーティストであるレディー・ガガたっての希望でライブのサポートアクト(前座)をつとめ、世界中の話題になった。

 そのBABYMETALの成功は、日本の産業の成長にとって意義深いヒントになるだろう。
 

BABYMETAL戦略に学ぶ、産業の成長戦略 「Kawaii×技術力」のすり合わせの画像1『ビジネスをつくる仕事』(小林敬幸/講談社現代新書)

 メタルという音楽は、緻密な音楽理論と厳格な様式美をベースにテクニックを駆使するもので、熱心で固定的なファンがいるジャンルだ。そのメタルの音楽に乗って、中3と高1のアイドル出身の女の子が、赤と黒を基調としたゴシック系ミニスカートの衣装で踊りまくる。その新奇性と音楽性に世界中が驚いた。
 
 日本の音楽シーンというのは、世界中のありとあらゆる分野を取り入れ、さらにマニアたちが発祥地と変わらないほど高いレベルにまで極めている。この点では、米国ポップシーンのコピーに集中し、海外の現地音楽シーンに合わせてモディファイしている韓国とは、かなり様相が違う。

 BABYMETALの音楽は、そうした幅も広く層の厚い日本のミュージックシーンを基盤とし、ヘビーメタルのなかで細分化されているさまざまな要素をバランスよくミックス。さらに“超絶テクニック”で演奏、高い音楽性を実現している。そのレベルの高い音楽に、“Kawaii(カワイイ)”十代の女性アイドルが乗っかっている。なんとも日本的といえば日本的だ。

●BABYMETAL戦略

 このBABYMETALのモデルを日本のビジネスシーンに上手にあてはめて成功を導きたいものだ。これを一言でいうと、

「BABYMETAL戦略 = Kawaii × 技術力」

となるだろう。日本の産業は、実にさまざまな分野で幅広く匠の技術を極めており、層の厚い技術力がある。材料工学、研磨などの加工技術、光学、メカニカルなどは、圧倒的優位とまではいかないものの、まだまだグローバルの中でトップと対等にわたりあえる競争力を持っている。この広くて高い技術力が基盤になる。そして、その上に日本らしい、人にやさしく美しくもあるKawaiiセンスをもちこみ、バランスよく融合させ、すり合わせるのだ。これが日本のビジネスシーンにおける成長戦略のひとつの有力なモデルとなるだろう。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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